MAKERS UNIVERSITY

STUDENT INTERVIEW
塾生インタビュー

じぶんたちが「いい」と思えるモノを自分たちの手で作り、責任をもって提供していきたいという人の集まりがMAKERS。

鶴元 怜一郎さん

武蔵野美術大学大学院造形構想研究科 修士課程 2年 / guruguru株式会社 取締役

MAKERS UNIVERSITY 5期生

Q.
MAKERS UNIVERSITYに応募する前はどんな想いで、どのようなことに取り組んでいましたか?

「建てない建築家」として、まちにある余白(空き家、遊休不動産)を活用し、地域コミュニティーの再生に繋いでいく活動に取り組んでいました。
建築家になるために九州から上京し、格好良い建物をたくさん設計したくさん建設していくことを目標としていましたが、空き家問題や環境汚染問題をはじめとする現代の建築・不動産業界が直面している様々な状況を知り「今あるものを活かすことのできる建築家」になる必要があると判断しました。なので大学在学中は、クリエイター4名で文京区根津にある築60年の空き古民家を改修し地域開放型シェアハウス『ねづくりや』を運営したり、JR山手線西日暮里駅高架下の空きビルを改修し「まちをまぜ、駅から新しい学びを」をテーマにした複合施設『西日暮里スクランブル』でジェラート屋さんを経営したりしていました。

Q.
現在はどんな事業やプロジェクトに取り組んでますか?その事業やプロジェクトに挑む背景や想いも含めて教えて下さい。

共創型賃貸モデル『フリー不動産』と題した新規事業の起業準備をしています。

事業コンセプトは下記になります。
「効率性、機能性で、刷新されていく街に、残っている地域の記憶、繋がり、くらし、風景。
誰もが、願っている大切な事を、しなやかに次世代へと繋げていく。
地域と学生たちの新しい繋がりは、残された空き家を再生させ、地域の新しい担い手を生み出していく。
私たちは、地域に根をおろし、建物を再生させ、開放し、地元とつながり、喜び楽しみ、生業を支援し、学びあい、新しい地域の担い手としてまちを創造していく。
その様な活動を社会の当たり前にするために、沢山の人達と手を取り合い豊かなくらし、つながり、まちを作り、新しい学びを実践する。
地域と市民と学生が起こす、新しい、まちづくりがここから始まる。」

「再生の学び」を重点に置いた空き家改修のスキーム、まちの余白を活用した建物を作らないまちづくりを、今までの活動の経験も活かしながら世の中の人にも実践してもらえるように、仕組み化できるようまとめています。

Q.
MAKERS UNIVERSITYにはどんな想いや期待感で応募しましたか?

入塾を希望するに至った理由は、世の中を見るための自身のフィルターを増やしていくことができそうだと感じたからです。MAKERSには、自分にはない力を持っている人、自分の弱さを教えてくれる人がいると思いました。そんな方々との交流を通して、いままで受け入れることができなかった価値観を取り込むことに挑戦したいたかったからです。説明会を聞いた印象としては歴代塾生達の、じぶんたちが「いい」と思えるモノを自分たちの手で作り、責任をもって提供していきたいという強い意思を感じられました。

MAKERSはそれに共感してくれる人が集い、出会い、くつろぎ、交流が生まれる”生の現場””です。SNSで繋がれる時代だからこそ、リアルなコミュニティが大切であり、革命児が集まることで生まれる化学反応にとても期待していました。

Q.
実際にMAKERSに参加してみて、自身にとってどんな変容や進化がありましたか?

揺るぎないビジョンやテーマはあってMAKERSに参加し始めましたが、日々の美術大学生活の中では、出会わないような人達や対話内容に最初の方圧倒されていました。

自分は感覚的に受けた情報を言語にして発することへの苦手意識があります。言語化力を身に着けるため勉強をしたこともありますが、技術的な話よりも自分の意思の問題なのでここはできれば譲りたくありません。MAKERS以外のコミュニティーだと、上手く伝わらなかったりすることが多々ありますが、5期のみんなはそこも受け入れてくれつつフォローしてくれて、だんだんと言葉にすることすら楽になりました。

一方で自分は、空間や作品としてのアウトプットが自分の感覚を表現できると言うことに改めて気づかされた部分が多かったです。言語化も大切ですが、これからもっとアウトプットの質を高めていくことが重要だなと学べたことも大きな収穫でした。

Q.
古俣ゼミが自分自身や事業に与えた影響、メンターである古俣さんとのやりとりで印象に残っていること、また、月1ゼミでの学びや気づきを教えて下さい。

まちの余白(空き家や遊休不動産)を活用した地域コミュニティーの再生が人生のテーマです。
ゼミに入った当時、空き家を改修し4つの拠点の運営を株式会社で行っていました。
しかし、空き家率や不動産二次流通の現状を変えていくには、自分たちのチームが一件一件改修運営していくスピードではインパクトを与えられないと感じました。
古俣さんとは自分の事業をどう無理なくスケール化させていくか、決して急がせるわけでもなく毎月の自分の悩みに対し率直なフィードバックをいただけたことが、焦りがちな自分にとって冷静さを取り戻す大切な時間になっています。
5期古俣ゼミメンバーは、専門も事業のフェーズもバラバラなのでお互いに学ぶことがとてもたくさんあり、否定しあわずまず受け入れて意見を聞きあえる空気があるのですごく話しやすいチームだなと思っています。今後もお互いの事業を見守り合いながら進んでいける仲間だと思います。

Q.
MAKERSUNIVERSITYに入学してから、一番印象に残っている出来事は何ですか?

『Out of the box thinking Workshop』が印象的でした。個性揃いの5期成それぞれが自分の作っていきたい未来を画用紙に思い思いに表現し床に並べ、全員で自由に回りながらポストイットでアイデアや意見を載せていくワークショップです。自分は感覚的なアイデアを言語化することに抵抗があり、事前カリキュラム中も上手く考えていることを伝えられずモヤモヤすることがたびたびありました。このセッションでは、未来ビジョンをスケッチで描いて良かったので表現の幅が広く、それまでのキャンプでゆっくり話せなかったメンバーとも十分にお互いの意見交換ができました。感覚派の美術学生とプロジェクトをするときにも、このワークショップでの学びを活かさせていただいています。

Q.
MAKERSに入ったからこそ得られたことや、MAKERSがあってよかったなと感じていることを教えてください。

全国各地に仲間ができたこと、様々な分野に仲間ができたことが大きいです。
キャンプが終わった後でも個人間で別件の仕事の相談などが続いていたり、一緒にプロジェクトしようと勉強会をしたりしています。
率直にワクワクすることや、社会に対しての疑問に向き合い全力で挑戦することを許されるコミュニティーに所属できていることだ幸せです。

仕事関係でも、設計案件や飲食店の出店情報を伝えてくれたり、お店によく食べにきてくれたりとMAKERSのみんなにはとても感謝をしています。
自分も、みんなの事業に役に立てることがあればこれからもサポートしていきたいです。

Q.
学生向けの起業支援プログラムやビジネススクールが沢山ある中で、MAKERS UNIVERSITYがそれらと違うのはどこだと感じますか?

ある程度まとまった時間、同じ空間で過ごせることに価値を感じました。強烈な学びというのは、意外と一緒にお風呂に入っている時だったり夜オリンピックセンターを散歩している時だった気がします。この時代、あの時期に同年代の強い志を持った人たちが同じ場所にあんなに集まれたことは奇跡だと思います。

Q.
あなたとってMAKERS UNIVERSITYを一言で表すと何ですか?

「調子が悪くなったときのピットレーン(カーレースなどで、一時停車してタイヤ交換や簡単な修理、ドライバー交代などを行う場所)。」
自分は孤独じゃないんだしんどくなったら助けてくれる仲間がいる、それがあるだけで頑張れます。だから自分も、MAKERSの誰かが困っている時があれば全力でサポートしたいなと思える場所です。

Q.
あなたの人生や事業を通じて「こんな世の中・こんな未来を実現したい!」というビジョンを教えてください。

必要以上の「所有」という概念を、崩していきたいと思っています。
建築・不動産業界でいうと、貸主と借主の関係、不動産収益をベースとした「家賃」という概念です。
共創型賃貸モデル『フリー不動産』を始めた自分たちの元には、タダでもいいから地域のために活用してほしいという物件の連絡が日々たくさんきます。
既存の不動産収益モデルだともう成立しない建物がたくさん発生しているためです。
今は当たり前にある、「家賃」「不動産契約」を挟んだ貸主と借主の関係も変わって来るのではないかと予想し、未来を考えています。

日々増えていく空き家を、きちんと再生させていく。その再生された空き家は、地域に開かれ、地域に還元されていきながら、地域に支えられ管理されていく。市民による共生・共有システムが未来を創っていく。空き家が出たら、地域に還元される流れを作りたい(所有からシェアへ)。これが僕たちのビジョンです。

(*このインタビュー記事は、2020年9月時点のものです)

関連URL

ぐるぐるジェラート
西日暮里スクランブル
ラーメンバルゆきかげ
ニュータバタ邸

メディア掲載歴

・商店建築8月号 – 西日暮里スクランブル / ぐるぐるジェラート (雑誌)
・文京経済新聞 – 谷根千宅配便
・JR東日本東京感動線 – ぐるぐるジェラート / gurugururadio

PROFILE

鶴元 怜一郎 武蔵野美術大学大学院造形構想研究科 修士課程 2年 / guruguru株式会社 取締役
福岡県北九州市生まれ、小さい頃から秘密基地作りが大好きで建築に興味を持つ。建築を勉強するために上京、武蔵野美術大学建築学科で建築意匠やインスタレーションを学ぶうちに、既に存在する建築物を活用していく取り組みに価値を感じ活動を始める。空き家を改修した地域開放型シェアハウス「ねづくりや」「ニュータバタ邸」を設計改修・運営。そのシェアハウスでの繋がりがきっかけで、地域に根ざした飲食店「ぐるぐるジェラート」「ラーメンバルゆきかげ」を経営。

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