MAKERS UNIVERSITY

STUDENT INTERVIEW
塾生インタビュー

日本に逃れてきた難民に、人間らしい”暮らし”と”働く”を。日本社会が多様性や多文化を認め合い、受け入れ合えるように

渡部 清花さん

東京大学大学院 総合文化研究科・国際社会科学専攻 修士課程2年/WELgee 代表MAKERS UNIVERSITY 1期生

MAKERS UNIVERSITY 1期生

渡部 清花さんインタビュー写真3

「こんにちは」も知らずに日本にたどり着く。生活にも仕事にも日本語が必要なこの国で生きてゆくために。

Q.
MAKERS UNIVERSITYに応募する前はどんなことをやっていて、今、どんな事業やプロジェクトに取り組んでいますか?

応募する前は、めちゃくちゃでした。私はバングラデシュの先住民族が住んでいる村に、2年間住んでいました。そこは政府から弾圧され続ける側の人々が住んでいたのですが、政府もそれを隠し、国際社会も関われないという見えない紛争地で、その中でNGOや国連のプロジェクトに関わっていました。手でカレーを食べて生きていました。その時は国際開発とか人権に興味があって、終わりの見えないこういった問題にどうにか突破口を見出したくて、それがMAKERSに応募した動機でした。バングラデシュの現地では、対処療法的な、流れ出る血に絆創膏を張るみたいなことしか、国連みたいな大きな組織であったとしてもできなかったので、そもそもの根本を覆すみたいなソリューションを見つけたい、学びたいというのが、MAKERSに来た一番の動機です。今は、MAKERSを経て、日本に逃れてきた難民の人たちの、日本社会への入り口と仕事につながるきっかけを作る活動をしています。具体的には難民ホームステイと就労移行事業というのを試みていて、難民ホームステイは、難民申請中の難民の人たちが、日本人の家にホームステイしにいくという、一泊二日からのプロジェクトなのですが、家庭が彼らを受け入れて、一緒に時間をすごして、一緒に、生身の人間としての時間を共有するということで、難民にとっては、日本を知る最初のきっかけになるし、日本家族にとっては、世界を知る一歩目になる、そんな事業を作っています。
難民ホームステイの事業の中から見えてきたのが仕事のニーズで、やっぱり難民だから、下請けの下請けの仕事だったり、すごく危険な土方の仕事だったりという限られた選択肢しかない中で、でも話を聞いていくといろんな才能や、特技、将来の夢を持っている人たちなので、そういった彼らが持つ光っているものを発掘して、それを日本社会と繋げる方法で、仕事を創りだしていきたいなと思っています。

Q.
MAKERS UNIVERSITYにはどんな想いや期待感で応募しましたか?

一つは、色々な人に、「わからない」とか「助けて」と言えるようになったことです。それまでは、がむしゃらに自分で頑張るというのが自分のスタイルだったのですが、決してそうしたかったわけではなく、方法がわからなかっただけなんだなと気づきました。MAKERSに出会って、わからない時は聞けばいいし、失敗したってそれを言っていいし、つながりたい人につながっていく方法って、ビジョンを語ることで、そのチャンスがやってくるし、とそんなこと教えてもらいました。自分で出来ないことは色んな人を巻き込んで、色んな人に力を貸してもらって進めばいいと思えたのが、自分自身の大きな変化だなと思っています。

もう一つは、今まで、自分と違う分野にいる人は、あんまり関係ない人だと思っていました。大事じゃないわけではないけれど、私の事業や私ビジョンを達成するには、あんまり関係がないと。でも、実は全くそんなことはなかったんです。同期のMAKERS一期生や二期生の子たちに出会って、アプローチやHOWは違っても、その先にある作りたい未来の話をしていると、それがふっと被るときがあって、その被った時がすごく面白いし、それに対してどうやってアプローチしていくかという話はもっと面白いし、すごく沢山のヒントをもらえて、「ああ、こういうことを見逃していたのはすごくもったいなかったな」と思いました。だから今は、全然関係ない分野にいるようなメンバーに、アドバイスもらったり、しょげた時に助けてって言ったり、めげたときに励ましてもらったり、そんな仲間になれたことがが、とても大きな進化ですね。

渡部 清花さんインタビュー写真2

WELgeeのイベントの様子

Q.
MAKERSUNIVERSITYに入学してから、一番印象に残っている出来事は何ですか?

メンターの小沼さんとの出会いはとても大きかったです。私は、MAKERS1期生の時に、小沼ゼミに所属していて、本当はもう卒業のはずなのですが、お願いして今も2期の小沼ゼミに入れてもらっています。小沼さんは、とにかく熱い人で、でも、HOWの部分も、ものもすごくいいタイミングで教えて下さいます。私たちが、扱うのは人だし、難民というすごくセンシティブなテーマだし、リスクマネジメントも不十分だしと、あれもこれも心配で、構想はあるけれど、まだ実証実験の一個目を踏み出せないという時に、「それでも第一号の実績をつくれ」ということをずっとおっしゃってくださって、その第一号は完全なものでなくてもいいし、すごく手作りでもいいから、まず第一号を作れと。それができたら、絶対に第二号もできるし、それができたら今思い描いているものじゃない第二号ができるからというお話で、だから難民ホームステイの一件目は、私がすごく信頼しているアフリカの難民の方を、私の実家に送り込むというすごく手作りで、完璧ではない、そんな第一号を作ったところから、二号三号と次が生まれていって、今19件目になります。だから、小沼さんのその言葉は私にとってはすごく宝物です。

Q.
学生向けの起業支援プログラムやビジネススクールが沢山ある中で、MAKERS UNIVERSITYがそれらと違うのはどこだと感じますか?

学生向けのアクセラレーション系のプログラムはあまり参加したことがないのですが、話を聞いていて思うのは、だいたいそういったプログラムって、期間中が手厚くて、期間中に色々気合いを入れてやってくれるんですよね。でもMAKERSは、終わってからが本番というか、終わってからの方が手厚かったのではないかと思います。プログラムが修了してからの方が、人との結びつきも濃くなったなと思っていて、だから、1年間のプログラムのように見えつつ、たぶんこの先ずっと一生、おばあちゃんになるまで一緒にいられるコミュニティに入れたのだなという実感があるところが、他と違うところですね。

Q.
あなたとってMAKERS UNIVERSITYを一言で表すと何ですか?

一言で表すと「ただいまっていえるお家みたいなところですかね、実家みたいな」
その日めげても、その日すごく楽しいことがありすぎて、早口で話したいことがたくさんあっても、どっちの自分も受け入れてくれる人にたくさん会えるから、久々に実家に帰ったみたいな、そんな場所です。

Q.
あなたの人生や事業を通じて「こんな世の中・こんな未来を実現したい!」というビジョンを教えてください。

私たちWELgeeのビジョンでもあるのですが、自分の境遇に関わらず、自分のやりたいことを実現できる世の中を作りたいなと思っています。私たちが出会う人たちって、難民になる前は普通の学生で、やさしいお父さんで、誰かの息子で、すごくまじめな研究者で、売れっ子の歌手で、そういう人としてのキャラクターを沢山持って、生きていた人たちなのです。それが何らかの外的要因によって、それまで送っていた人生が途切れてしまった瞬間があった人達なんですよね。そして、そうなった時にたまたまたどり着いた先が日本で、それが第二の人生だったとしたら、第二の人生に希望が抱ける社会にしたいなと思っていて、それって自分の境遇に関わらず、挑戦できる世の中に繋がるんじゃないかなと思ったので、このビジョンを掲げて、活動しています。

(*このインタビュー記事は、2017年10月当時のものです)

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渡部 清花さん

PROFILE

渡部 清花

東京大学大学院 総合文化研究科・国際社会科学専攻 修士課程2年/WELgee 代表

MAKERS UNIVERSITY 1期生

1991年生まれ。大学時代はバングラデシュの紛争地にてNGOの駐在員を務める。国連開発計画(UNDP)でインターンとして平和構築プロジェクトに携わった。2016年3月、日本に希望を求めてやってきた難民・難民申請者を対象に「すべての人が自分の可能性を信じられる世界」をつくることを目指し、WELgeeを設立。難民ホームステイ事業や就労移行支援にも取り組む。英語より得意なのはバングラデシュの先住民族語(日本人で2人しか話せない言語)。

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