MAKERS UNIVERSITY

STUDENT INTERVIEW
塾生インタビュー

MAKERSは自分の着飾っていたものがどんどんそぎ落とされ、自分の心からやりたいことが定まっていくような時間でした。

倉田 敏宏さん

島根県立大学4年/株式会社tachimachi 代表取締役

MAKERS UNIVERSITY 2期生

倉田 敏宏さんインタビュー写真3

シトラスの谷マルシェのイメージ画。

Q.
MAKERS UNIVERSITYに応募する前はどんなことをやっていて、今、どんな事業やプロジェクトに取り組んでいますか?

MAKERSに参加する前は、僕の地元である広島県福山市を中心に、いろんな人が関わってくれるような場所を作りたいなって思って活動していたのと、内海町という場所で5年かけて耕作放棄地だった山を切り開き、柑橘畑にしていらっしゃる農家さんがいらっしゃって、その農家さんと一緒に「シトラスの谷(http://citrusvalleymarche2017.peatix.com/)」というプロジェクトを立ち上げ、「耕作放棄地でも、じっくりと手間と愛情をかけていけばそこはもっと素敵な場所に生まれ変わるだよ」ということを伝えるためのプロジェクトを行っていました。MAKERSに参加する直前から今にかけては、備後地域、広島県東部を中心にゲストハウスを作って、そこでご飯を食べられたり、ちょっとホッとできる場所を作って、備後の暮らしとか、そこに住んでいる人たちの息遣いとか、そういったものを伝えられるような場所を作るべく、今、事業を作っています。

Q.
MAKERS UNIVERSITYにはどんな想いや期待感で応募しましたか?

倉田 敏宏さんインタビュー写真2

耕作放棄地だったシトラスの谷を開墾している様子。

僕が住んでいる町に、20代が少ないというのが一つありました。若い世代は勿論いるのですが、じゃあその同世代が起業するか、この町のために何かをするかと言えば、それをする人間が少なかったとていうのはありました。でも、MAKERS UNIVERSITYには、地域関係は勿論、他にもITの分野とか、テクノロジー、AIとか、色々な分野で活躍しようとしている、頑張ろうとしている同世代がいるというのを聞いて、参加したいなと思ったのが一番大きなきっかけでした。

Q.
実際、参加してみてどうですか。

一言でいうと、楽しいというのが本心です。これまで、ローカル、いわゆる、地域活性化といわれるような領域で活動してきて、そうすると地域活性化という一つの領域のことしかわからないんですよね。じゃあ、今のITってどんな感じなのだろうとか、それこそ、スタートアップってどんな感じなんだろうっていうのを、新しい情報として得ることができて、それを自分の領域に還元できるのはすごくいい環境だなと思っています。

Q.
実際にMAKERSに参加してみて、自身にとってどんな変化や進化がありましたか?

一番大きな変化としては、どんどんどんどん自分がいい意味でそぎ落とされているということです。一番最初のMAKERS UNIVERSITYに応募した書類にも書いているのですが、社会を変える人を支えたいとか、頑張っている人を支えて社会を変えていくのを加速させたい、そのために、僕の住んでいるこの町に来てもらいたいということを、当初考えていました。でもそれってどうしても矛盾していて、東京のスタートアップやソーシャルセクターで働いている人を本当に支えたいのであれば、むしろ東京で起業しないといけないはずなのに、どうしてわざわざそんなに遠い広島県で人を支えようとしているんだという矛盾が発生するんです。それを自分でも考えて、いろんな人から指摘もされたときに、いろんな人を応援していきたいという気持ち、支えていきたい、フォローしていきたいという気持ちには変わりないし、嘘はないのですが、それよりももっと上の次元で、そもそも、僕はこの広島県が好きなんだなと、広島県の、福山市とか、尾道市、府中市っていう、広島県東部の、僕の故郷が好きなんだ、ここに住んでいる人たちの暮らしとか、その文化とかを、多くの人に知ってもらって、ここにいる人たちってすごい格好良いねって思ってもらいたいということが、本当の僕の本心なのだなと気づきました。これが、自分自身にとっての一番の変化で、着飾っていたものがどんどんとれていった感覚を覚えています。

Q.
そういった自身の変化はMAKERSの中のどんなことがきっかけで起こりましたか?

周りのみんなが愚直に自分の達成したいことを、考えて、日々行動して、毎日小さな変化も起こして、そしていろんな人から評価をされてという状態を見て、じゃあ、翻って自分が本当に、今これやりたいことはなんだっけ?と、自分に日々問い始めたっていうのが一つきっかけです。二つ目としては、メンターの方や、MAKERSのメンタリングデイなどでご縁があった方とお会いして話をしている中で、倉田くん迷っているよねと、毎回言われたことです(笑)。自分のビジョンに対して、なんか自信なさげだよねと。そうゆう気づきを得られたおかげで、最終的に、やっぱり自分の地元、ちゃんとそこに、まず向き合おうと腹をくくれたという感じです。

Q.
MAKERSUNIVERSITYに入学してから、一番印象に残っている出来事は何ですか?

基本的にすべてが印象に残っています。最初のキックオフの合宿、ゼミ説明会でのゼミメンターとの対話など。やはり自分の地域だけにいたら得られない情報や会えなかった人と会えて、自分の中できることの範囲がどんどん広がっていってるなという感覚を、MAKERS UNIVERSITYに参加してからずっと感じています。だから、MAKERSに参加していること自体が、一番印象に残っています。

Q.
学生向けの起業支援プログラムやビジネススクールが沢山ある中で、MAKERS UNIVERSITYがそれらと違うのはどこだと感じますか?

Change Makeするということを、MAKERS UNIVERSITYも理念として掲げていると思うのですが、そういう社会をよくしていこうという団体やコミュニティって、大体最初のタイミングでマウンティングやポジショントークなど始まってしまって、知らない間に殴り合いになっちゃってるっていうことがよくあるんですよね。MAKERS UNIVERSITYも最初は多分、そんな時期もあったと思うのですが、それが時間を経るにつれて本当に仲間になっていくという感じが強いんです。だからやっている領域は全く違うのですが、一緒に時間を過ごしていく中で、あ、彼はここで困ってるんじゃないかなとか、こういうところで苦しんでるんじゃないかな、こうすればうまくいくんじゃないかなとか、みんなお互いに感じ取れるようになってきていて、きっとそこが他のプログラムとは違う点なんじゃないかなって思います。

Q.
あなたとってMAKERS UNIVERSITYを一言で表すと何ですか?

一言で、MAKERS UNIVERSITYを表すとすると、広島の方言の「いこる」という言葉がぱっと思いつきます。「いこる」というのは、例えばバーベキューや七輪をするときに、炭に火をつけて、その炭の火がすごくたっている状態ではなくて、その火が落ち着いて、パチパチパチと、ちょっと火花がたっているような状態のことをいいます。MAKERS UNIVERSITYもまさにそれだなって思っていて、みんな大炎上しているわけじゃないけれど、静かに、闘志を燃やしていて、もうすごく愚直にやっている。バーベキューでも、みんな、火が大炎上しているところに肉を置かないですよね。すぐに燃えちゃうし焦げちゃうから。いこっている状態のパチパチパチッとなっているところに、みんな肉を置いたり、そこに人がどんどん集まって、情報とか人とかも集まっていく。ここにいる人たちって、全員が、そうやって一気に炎上せずに、もうじわじわじわじわ、前に進んでいるという感じがあるので、ここの場所はいこってる、いこる場所だなと感じます。だから、僕の一言は、「いこる」です。

Q.
あなたの人生や事業を通じて「こんな世の中・こんな未来を実現したい!」というビジョンを教えてください。

今、僕は、小さな変化を喜べる社会を作りたいと思っています。街づくりとか、そういう大きなことをしようとすると、どうしても、大きな変化を起こさなくてはいけないと思ってします。でもそうじゃなくて、日常の中にある小さな変化を喜んでいこうと。例えば、こんな話があります。とある地域で、若者が少なかった。その商店街は、全く誰も通らなかった。でもそこに、ちょっとずつ人若い人やお年寄りの方とかも来て楽しめるようなお祭りやイベントを仕掛けていく地域があったんです。それを、もう4、5年かけてゆっくりゆっくりやっていたら、焼酎、ビール、日本酒みたいなおっちゃんたちが飲むようなものしか置かれていなかった近くの居酒屋にカシスオレンジが入ったんです。それで、「そのカシスオレンジなんで入れたの」って、そのプロジェクトやってる代表の方が聞いたら、「だってこれ、若い人好きでしょと。」これすごい変化だなと思いました。若い人が確かにその地域に入ってきたことによって、居酒屋のおっちゃんが、若い人の好きなものってなんだろうって考えた結果、カシスオレンジがメニューとして入ったんですよね。実際それが本当に飲まれるかどうかというのはわからないですが、そのおっちゃんに、カシスオレンジを一つ入れさせたというのは、その地域にとってもすごい変化なんじゃないのかなと。なぜなら、若い人たちが誰も通ってなかった通りに若い人が通るようになったから。そういった小さな変化かもしれないけれど、確実にその地域が変わっていってるなという実感をもって、みんなが喜べるような社会を作っていきたいなと思います。それを、広島県東部、備後地域、僕の住んでいる福山市を中心に作っていけたらな思っています。

(*このインタビュー記事は、2017年10月当時のものです)

メディア掲載歴

〈新聞〉中国新聞社 山陰中央新報〈雑誌〉経済リポート〈ラジオ〉レディオBINGO レインボーFM

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株式会社tachimachi

シトラスの谷プロジェクト

倉田 敏宏さん

PROFILE

倉田 敏宏

島根県立大学4年/株式会社tachimachi 代表取締役

MAKERS UNIVERSITY 2期生

広島県福山市沼隈町出身 株式会社tachimachi代表取締役社長。「人生の余白を彩る暮らしを」を理念に掲げ、起業。広島県福山市を中心に、暮らしを楽しむ企画や商品開発を行っている。現在は、農家直結の野菜・果物販売ECサイト「てごマル」の運営や自堕落な宿屋の立ち上げ、ミカン畑を復活させるプロジェクトであるシトラスの谷のプロデュースを行っている。また、広島県府中市にて週末だけOPENするBARを個人的に営み、地域住民同士の接続の場を創出させている。好物はイノシシの心臓。

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