MAKERS UNIVERSITY

STUDENT INTERVIEW
塾生インタビュー

看護職をはじめとする医療職の方々が、自らキャリアを探求し、いきいきと働くことができる社会をつくる。

野村奈々子さん

岐阜大学医学部看護学科4年 / 株式会社REGIE・一般社団法人REGI

Q.MAKERS UNIVERSITYに応募する前はどんな想いで、どのようなことに取り組んでいましたか?

高校生のとき、看護職の働き方に関心をもったことをきっかけに、大学1年生の終わりから看たまノートという看護学生にキャリア形成のヒントになるような情報を届けるWEBメディアを運営し始めました。しかし、世の中の看護学生は「忙しい」生き物なようで、看護の領域で一緒に活動してくれる仲間をなかなか見つけられず、一人でもくもくと2年ほど活動していました。
「ここに仲間を求めている看護学生がいるよ」と、せめて別領域の人たちに知って欲しくて、ビジコンやアイディアコンテストに出ていたのもこの時期でした。
MAKERSに応募しようと思ったのは、もともとMAKERSの姉妹プログラムのMAKERS U18を知っていておもしろそうだと思ったことと、その後、MAKERSに関わる先輩方に誘っていただいたことがきっかけです。「いい加減、仲間がほしい」「次のステップに進みたい」と思い、応募することを決めました。

Q.現在はどんな事業やプロジェクトに取り組んでますか?その事業やプロジェクトに挑む背景や想いも含めて教えて下さい。

現在も、WEBメディア「看たまノート」の運営を続けています。看たまノートは、看護学生に向けてキャリアの考え方や考えるきっかけを届けるWEBメディアです。看護業界では長年、病院などで働く看護師の離職が多く、臨床現場での人手不足が叫ばれています。
まだ女性が多い業界でもあり、ライフステージの変化が影響しやすいためといわれています。私は「看護師になりたい!」というより、「なんで白衣の天使が輝けないんだろう!」という、看護職の働き方への興味を入り口に看護学科に進学しました。大学一年生の後半でキャリアデザインの授業を受けたことをきっかけに、「専門職の学生こそ、資格をもった職業人としてのキャリアと、自分の生き方のそれぞれを考えていけるかが重要なのでは」と感じ、専門職の学生に向けたキャリア支援に踏み込みました。自分も楽しく働きたいですし、そのためには周りにも楽しく働いてもらわなくては!という思いで取り組んでいます。

Q.MAKERS UNIVERSITYにはどんな想いや期待感で応募しましたか?

MAKERSには、違う畑で頑張る仲間に出会いたいと思い応募しました。私の場合、自分のなかに想いがあっても、技術も知識も足りず、一緒に頑張れる仲間も近くにいなかったので、「切磋琢磨できる仲間に出会うことで、悩みも喜びも共有できる空間がほしいと切実に感じている。」と応募の資料に書いていました。
また、自分にとっては休学するタイミングだったので、スピード感をもって事業を進めるきっかけにしたいと思っていました。

Q.実際にMAKERSに参加してみて、自身にとってどんな変容や進化がありましたか?

看たまノートを手放す決断をしたことが大きな変化です。自分が一人の看護職としてどこかに就職して修行したい思いと、それでも看たまノートの成長を止めずにより多くの学生に届けていきたい思いで悩んでいました。欲張ればどちらも中途半端な向き合い方になる予感があったので、選択のときだと思いました。

2021年夏、MAKERS4期の先輩に悩んでいることを相談したところ、「だったら、(事業を譲渡して)一緒に運営体制を作らないか」と誘ってもらいました。ありがたい言葉だと思う一方、2年以上自分ひとりで育ててきた我が子のようなものを手放すには勇気が要りました。それでも、「自分でやるんだ!」と囲い込むより、看たまノートを待つ学生に一人でも多く出会うための最善策だと考え、即決しました。契約書にサインするときは我が子を養子に出す気分でしたが(子どもを育てたことはありませんが)、私の決断をあたたかく支えてくれた仲間に感謝しています。

Q.水野ゼミが自分自身や事業に与えた影響、メンターである水野さんとのやりとりで印象に残っていること、また、月1ゼミでの学びや気づきを教えて下さい。

印象的でもあり、今後も心強く感じていることは、「どんな道に進んでも、水野さんやみんなが応援してくれる」と感じられることです。水野ゼミでの期を跨いだ飲み会、私が看護の道に一旦進みたいと話したとき、ほかのゼミメンバーが何かを水野さんに報告するとき…いろいろな場面で、「何やっても応援するよ」「いいじゃん」「その道に進むことで見えるものは絶対あるよね」と背中を押してくださるやりとりがありました。もちろん、事業に関する判断はなんでもGOというわけではなくアドバイスしてくださいますが、人生の節目の決意や、一生懸命考えた結論をまずは尊重してくれる、一番の応援者なのではないかと思います。
心残りは、「水野さん」と呼びすぎていまさら「みっちーさん」と呼べなくなっちゃったことです。

Q.MAKERS UNIVERSITYに入学してから、一番印象に残っている出来事は何ですか?

MAKERSで出会った仲間との自主合宿です。プログラムとしての時間はもちろんのこと、非公式の時間も私にとっては宝物です。友達が活躍している現場を見せてもらったり、明け方の海辺を散歩したり、行ったことないまち・お店・緊急ではないけど重要なことと向き合う時間は貴重でした。6期は公式のプログラムがオンラインで進行することが多かったので、なおさら対面で会うこと、ふとした瞬間に生まれる対話、空気感が眩しく感じました。これから「オンラインが当たり前でした。合宿なんて古くないですか」と言ってのける世代が現れるのかも…と思うと、少し怖いです。

Q.MAKERSに入ったからこそ得られたことや、MAKERSがあってよかったなと感じていることを教えてください。

いろいろなフェーズの子がいることで、アドバイスがもらえたり、同じような悩みを抱えていたりして、お互いから学ぶ場面が多かったと思います。とくに、自分のお悩みやみんなに伝えたいことを軸に、(Zoom開催が多かった年なので)各話題ごとにブレイクアウトルームに分かれて行う学び合いのセッションが好きでした。クラファンのノウハウ、出資してもらうときの失敗談、結婚や出産、興味関心など、事業に関するものから人生に関するものまで、さまざまだったように感じます。それぞれのフェーズでぶつかる課題は違いますが、共通して得られる教訓のようなものはあるのだなあと思いましたし、お悩みを一人で抱えるお悩みではなく、みんなのお悩みにして真剣に向き合う時間は貴重だったと思います。

Q.学生向けの起業支援プログラムやビジネススクールが沢山ある中で、MAKERS UNIVERSITYがそれらと違うのはどこだと感じますか?

呪いを解き放てる場所であることだと思います。ここでの「呪い」は厨二病的なものではなく、その人の育った環境や、親御さんの価値観の裏にある時代背景、資本主義の歴史などに影響されてできた、その人のなかの「鎧」「執着」「固定観念」のようなものです。
最初は武装して来る人も多いものの、徐々に周りの変化を感じました。だんだんと弱さを認める強さを持てるようになったり、過去の自分について語れるようになったり、これまでに育ててきた思い込みを手放すことができたり。事業のこと以前に、一人の人として向き合える時間が生まれることで、呪いを浄化できていたのではないかと思いました。また、呪いを認識するだけでも、自分の原動力に気づくこともできるのではないかと思いました。

Q.あなたとってMAKERS UNIVERSITYを一言で表すと何ですか?

越境したい人たちの塊だと思います。
異なる価値観の人が集まり、お互いの大切にしているものをシェアしたり、事業をフィードバックしあったりすることで、新しい考え方や世の中に対するスタンスに出会えました。また、シェアすることから何かが生まれることをみんなが知っているので、知見が惜しむことなく共有され、先輩から後輩への恩送りも厭わない文化ができていくのではないかと思います。そうやって澱むことなく、コミュニティとしても個人としても同じ場所をぐるぐるしない場所に片足をつっこみ続けていきたいです。

Q.あなたの人生や事業を通じて「こんな世の中・こんな未来を実現したい!」というビジョンを教えてください。

看護職をはじめとする医療職の方々が、自らキャリアを探求し、いきいきと働くことができる社会をつくることです。とくに学生時代からのキャリア支援を通じて、自分の生き方を探れるような人が増えたらいいなと思います。ケアを提供する人は、自分自身がある程度満たされていないと他人をケアすることはできません。その先にいる患者さん、利用者さん、家族の方の笑顔のために、自分らしく活躍し続けることのできる人を増やしていくことが、日本の医療福祉を支える力になると信じています。
私は一度事業から離れるつもりでいますが、自分のライフワークとして学生に関わり続けたいと思っています。自分が学生時代に多くのチャレンジする機会や悩む機会をもらったからこそ、社会に羽ばたく前に、資格に囚われすぎず、自由に自分の人生と向き合う機会を届けていきたいです。


(*このインタビュー記事は、2022年10月時点のものです)

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メディア掲載歴

2021.2.16 日刊工業新聞「本社、キャンパスベンチャーグランプリ全国大会を開催 ビジネス化の動き加速」
2021.6.13 毎日新聞「岐阜大看護学科4年 野村奈々子さん(21) 看護師の「働き方」発信 /愛知」
2022.5.19 岐阜新聞「看護学生のためのフリーペーパー 学生が発行、看護師のインタビュー収録」
2022.6.16 朝日新聞「(ひと)野村奈々子さん 看護師という選択と生き方…看護学生の情報誌を発行する」
2022.6.16 U-NOTE「1人でメディアを立ち上げインターン先に譲渡!看護学生が”行動”したからこそ見つけた『自分だけの役割』」
・2022.5.10 【ラジオ】InterFM897「伊織もえのCHUCHUチューズデイ」
・2022.5.12 【ラジオ】J-WAVE TOKYO MORNING RADIO

PROFILE

野村菜々子 岐阜大学医学部看護学科4年 / 株式会社REGIE・一般社団法人REGI
岐阜大学医学部看護学科4年。大学一年生の終わりに看護学生向けのWEBメディア「看たまノート」を立ち上げ、運営開始。イベント/インターンの開催やフリーペーパーの配布を通じ、看護職の生き方を考える機会を全国の看護学生や看護の道を志す中高生に届けている。
第2回東海学生AWARD 準グランプリ/第18回キャンパスベンチャーグランプリ(CVG)中部大会 特別賞中部経済産業局長賞/第17回キャンパスベンチャーグランプリ(CVG)全国大会 審査委員会特別賞など

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