STUDENT INTERVIEW
塾生インタビュー
MAKERSは、事業家人生ずっとを見据えて設計されていて、それはつまり、事業家人生ずっと付き合う仲間を作っている期間であると言えます。
坂根千里さん
スナック水中 代表
一橋大学/社会学部22年卒
MAKERS UNIVERSITY 7期生
- Q.
- MAKERS UNIVERSITYに応募する前はどんな想いで、どのようなことに取り組んでいましたか?
大学2年生時に、ゲストハウスを仲間と開業し運営をしていました。背景には、学校や家族の固定的な価値観が窮屈に感じ、多様な価値観を受け入れる地域に居場所を見いだしたことがあります。若手にとって地域の人と関わる機会が少ないことを課題に感じ、地域との関わりしろを持つローカルな宿の運営に興味を持っていたのです。サービスや経営についてもっと学びたく、トビタテ留学でカンボジアのホテルでのインターンに10ヶ月参加していました。 また、ゲストハウスの近くにあったスナックでアルバイトをして、地域のサードプレイスに触れ学んでいました。就活を始める頃に、憧れていたキャリアウーマンになるか、自分で事業をするかで踏ん切りがつかず、迷っている自分もいました。
- Q.
- 現在はどんな事業やプロジェクトに取り組んでますか?その事業やプロジェクトに挑む背景や想いも含めて教えて下さい。
強がり女子のためのスナックの運営を行っています。
これまで高齢の男性のための社交場である要素が大きかったスナックに、若手や女性を取りこみ、これからの地域に必要な夜の社交場を作っています。スナックを事業継承し、リブランディングを通して常連客をベースにしながら売上を継承前の1.5倍にしています。
高校時代に強姦未遂に遭ったこともあり、独立心が強かった自分は誰かに頼るのが苦手で、一人で抱え込んで部屋で沈没してしまっていました。そんな時、家から近くにあり、人間味があるスナックでママはじめ先輩女性たちに救われました。自分も強がり女性のための居場所を作りながら、スナック的な街の社交場が衰退することなく残ることにコミットしたいという決意が背景にあります。
- Q.
- MAKERS UNIVERSITYにはどんな想いや期待感で応募しましたか?
事業を頑張ると決意したものの、ほとんどの友人が就活する中で不安も大きかったです。
同世代で、起業したり自分のプロジェクトをする仲間と繋がりたいと思ったのが一番の理由です。仲良くしていただいていた先輩起業家たちで、MAKERS生の方が多く、みなさん卒業後も仲がよく切磋琢磨しあっている様子を見て自分もこんな仲間が欲しいと思いました。
応募時は、事業を始めることについて右も左もわからない状態だったし、自分をどうモチベートして一定のパフォーマンスを出し続けるかが悩みでした。そんな情けない自分もさらけ出して相談できるのは、メンターのような存在というより同じ目線で共感したり教えあったりできる同列な仲間だなと思ったのです。
- Q.
- 実際にMAKERSに参加してみて、自身にとってどんな変容や進化がありましたか?
一つ目は、事業や自分自身を認め肯定してあげることができるようになりました。まず、自分の事業について。MAKERSは、違う考え方も尊重し「いいね」をしあう文化が強いです。就活時でたくさんの反対意見もあった中で、良いフィードバックをもらえたことは大きかったです。また、自分自身について。蓋をしてしまいたい過去や、そこに拘泥している自分も、プログラムや時間を過ごすことでだんだんと理解し合いました。そんな仲間がいてくれることがお守りになりました。
二つ目は、事業家としての成長です。MAKERS生が活躍していることを聞くこと自体が刺激になりましたし、振る舞いや考え方から学ぶことが大きいです。モチベーションを高く持ち、事業一年目を迎えることができました。
- Q.
- 成田ゼミが自分自身や事業に与えた影響、メンターである成田さんとのやりとりで印象に残っていること、また、月1ゼミでの学びや気づきを教えて下さい。
成田さんのフィードバックは論理的で、まっすぐ刺さります。開業して間もなく客入りもよく、多くのメディアにも取り上げていただいたりしている中「しっかりPMFしなくちゃね」と現実的で内心一番聞きたくないフィードバックをいただきました。笑 これは自分の不安を撃ち抜いた言葉でした。当たり前のことですが、忖度なしのフィードバックほどありがたいものはありません。きちんと仮説検証しようと事業の足場づくりに焦点を向けることができました。
月一のゼミは自分の現在地を再確認できる貴重な機会でした。ゼミ生だけで行うサブゼミでは、1ヶ月の心や身体の健康を振り返り、等身大の自分の悩みを打ち明けられる場として重要でした。
- Q.
- MAKERS UNIVERSITYに入学してから、一番印象に残っている出来事は何ですか?
「今日店行っていい?」と、都心から1時間かかる店まで突然遊びにきてくれる仲間が本当に多いなと思っています。行動力も、愛情深さも、そのまま当たり前のように私の家に泊まっていく図々しさも(笑)、すべてMAKERS生っぽいなと思います。みんなそれぞれ忙しい中、来てくれるとお互いの日々を称えあったり、また頑張ろうねと励まし合います。自分にとってはプレゼントみたいな時間です。
MAKERS生は、直接言葉を交わしたり連絡しなくても存在自体が自分も頑張ろうと思えるお守りのような存在ですが、実際に会うとやはりその比ではないです。自分ももらった分、気持ちを返したいなという気持ちにさせてくれる気持ちの良い関係です。
- Q.
- MAKERSに入ったからこそ得られたことや、MAKERSがあってよかったなと感じていることを教えてください。
MAKERSに関わっている時間は、自分が真似したくなるような人としての魅力・事業家としてのティップス・人との関係の中での所作といった刺激であふれています。それは、MAKERS生に限らず、事務局の内野さん、飛鳥さん、インターン生の皆さん、メンターさんや応援団の皆さんといった、MAKERSの環境を取り巻くみなさんからいただくものです。
普段事業を進めている中で、知らず知らずに視野が狭くなっているなと自分を俯瞰する機会でもあります。ドライな言い方ですが、事業以外に充てられる時間がそこまで多くない事業家にとって、密度高い満足度が高い時間だと思います。
- Q.
- 学生向けの起業支援プログラムやビジネススクールが沢山ある中で、MAKERS UNIVERSITYがそれらと違うのはどこだと感じますか?
プログラムを終えた後、事業家人生ずっとを見据えて設計されているところだと思います。プログラム自体より、非公式な時間で関係を築くことが重視されているとさえ思っています。それはつまり、事業家人生ずっと付き合う仲間を作っている期間であると言えます。
また、MAKERSの先輩・後輩、応援団、メンターさんなど、事業として来たるべき時が来た時に繋がりやすい環境です。事業家人生の中で、一年はとっても短い。他のプログラムでも一年は長い方ですが、一年を超えてMAKERSの環境を享受できるところが唯一無二だと思います。
- Q.
- あなたとってMAKERS UNIVERSITYを一言で表すと何ですか?
「お守り」みたいな存在です。
あえて、連絡を取り合わなくても遠くで頑張っているんだろうなと想像して自分を鼓舞してくれますし、うまくいかないことがあっても前を向かせてくれます。少しきつい時は、「MAKERS生ともうすぐ会える、会える日までとりあえず頑張ろう」と思っています。着飾らなくても会えて、そして心地の良い刺激をくれる存在です。事業をしている時は基本的に孤独です。ただ、自分で決めたことだから誰かにこの孤独感をわかってもらいたいわけでもありません。
だからこそ、実際に事業のアドバイスをもらうわけではなく、すがりたいわけでもなく、あいつも頑張っているから自分も自分の戦いをもう少し頑張ろうと思わせてくれるお守りです。
- Q.
- あなたの人生や事業を通じて「こんな世の中・こんな未来を実現したい!」というビジョンを教えてください。
多くの人が小さく周りに頼れる社会を実現したいです。
自分のコンディションや感情を一人で制御し切ることは難しく、人や社会と接続したいと思いながらも、「話をきいて」「今ちょっとしんどいな」と誰かに言うのが難しいこともあります。誰かに勇気を出して自分の心情を吐露することが全てではなく、ちょっとした周りのコミュニケーションや気遣いで回復することもあります。
スナックの事業を通じて、同じ街で生きている人々を顕在化させ、少々考え方に違いはあっても意外と理解し合える他人が近くに住んでいることに気づき、家や職場ではなく一息つける場所が近所にあるということ、自分は一人ではないと思える地域づくりに貢献したいと考えています。特に、一人飲み人口が少なく、地域色の強い場では羽を伸ばすことが難しい20代女性も居心地よく安らげる場に挑戦しており、老若男女が集えるこれからの地域に必要な社交場を、事業として実現していきたいです。
(*このインタビュー記事は、2022年9月時点のものです)
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メディア掲載歴
・NHK「おはよう日本」
・「NEWS watch9」
・テレビ朝日「大下容子ワイド!スクランブル」
・Forbes Japan
・ 週刊SPA!
・朝日新聞「就活やめた一橋大生、夜の街で見つけた新たな『社交場』に描く夢」
・東京新聞「国立に、新しい交流の場を」 一橋大生「スナック」引き継ぐ ネットで資金を募集
・毎日新聞「スナック水中」 ママは一橋大新卒、23歳 新時代のママ像模索
・ TEDx「How I found direction」