MAKERS UNIVERSITY

STUDENT INTERVIEW
塾生インタビュー

事業に対して、他人からの一定無責任なフィードバックを受け入れられる最後のチャンスだと思い、MAKERSに応募しました。

森本陽加里さん

立命館大学産業社会学部3年(休学) / 一般社団法人Focus on代表理事

MAKERS UNIVERSITY 7期生

Q.
MAKERS UNIVERSITYに応募する前はどんな想いで、どのようなことに取り組んでいましたか?

高校時代に、高校生ビジネスプラングランプリでプレゼンしたアプリ「Focus on」の開発に取り組んでいました。高校2年生でMAKERS U18に参加し、自分のアイデアをすでに形にしている同世代の存在に驚きました。
その後、初のプロトタイプFocus on〈mini〉を作ったり、大学進学後も何度かwebでプロトタイプを作ったりして、検証を続けていました。
大学1年の途中までは、夢中で作っては、モニターに使ってもらうを繰り返していました。しかし、大学1年の冬に割と自信を持って届けたプロトタイプが、正直不発で。そこから、「ユーザーにとって使いやすく」「ユーザーの世界に溶け込みながら」私の野望を最終的に果たしていくためにはどうしたら良いかを考えるようになりました。

※MAKERS UNIVERSITY U-18:https://u-18.makers-u.jp/

Q.
現在はどんな事業やプロジェクトに取り組んでますか?その事業やプロジェクトに挑む背景や想いも含めて教えて下さい。

現在は、”普通”を頑張るあなたの毎日を支えるアプリ「Focus on」を開発しています。2023年12月に正式リリース予定です。
このアプリは「私の疲れをぽちっとシェアして、一緒にケア」というコンセプトのもと開発を進めている、”共有する”セルフケアアプリです。

発達障害などの見えない障害や困難を抱えている人は、”普通”を生きるのに努力が必要な人たちだと感じています。しかし、彼らの努力やそれに伴う疲れは、なかなか周囲に気づいてもらいにくいものです。また、Focus onモニターの中には「自分の疲れに気づけない」といった悩みを持つ方も多くいらっしゃいました。
そこで、”疲れ”に着目し、自己理解をしながら、他者にSOSを出しやすくするアプリを開発していこうと考えました。

今でこそ、形になってきた本アプリですが、元々は高校卒業してすぐに作っていたプロトタイプが思ったより活用や拡大が難しく、”もう無理!”と言いながら絞り出したアイデアでした。半ば投げやりにMVP検証をしたところ、モニターの方々の反応がとても良く(今までのプロトタイプの中で一番笑)、ニーズを実感し「一旦作ってみよう」と舵を切りました。


Q.
MAKERS UNIVERSITYにはどんな想いや期待感で応募しましたか?

MAKERSには、登記する少し前に応募しました。応募して、面談を受けていた時がちょうど登記の1年前です。
応募フォームには、「事業をやっていく一段深い覚悟を持ちたい」「仲間がほしい」と書いたと思います。ただ、「仲間が欲しい」に関しては、大体他のMAKERS生がそういう理由で入ってくるので、無難に書いてみた、程度でした笑

本当の理由は、「(登記前の今が)他人の一定無責任なフィードバックを受け入れられる最後のチャンス」だと思っていたからです。
ここまで作り上げ、試行錯誤してきたものに対して、「やめた方がいいのでは?」「アプリ以外の手段に挑戦したら?」といった、ゼロから作り上げ直さないといけないようなフィードバックをもらった時、登記後(覚悟を持って、進み始めてから)では、素直に聞けないなと思っていました。
そのため、失うものがありそうでないような、まだギリギリ素直に手放すことができそうな時期に、「自分の無意識に持っている”いらないもの”」を手放しにいくために参加しました。

Q.
実際にMAKERSに参加してみて、自身にとってどんな変容や進化がありましたか?

正直、プログラム期間中は全く変化を感じていませんでした。同世代が大人数集まる学校が苦手だったので、MAKERSの全体プログラムも似たようなものを感じて、若干不登校していましたし笑
変化を感じたのは、デモデイです。ゼミの代表プレゼンを任せていただいたので、プレゼンのために自分の変化を振り返る中で気づきがありました。また、デモデイ当日、同期の発表や発表を聞く同期の姿を見て、変化を感じました。
みんな、出会った時と「全然変わってなくて、全く違うな」と思いました。
目指す世界、叶えたい願いは、私含め出会った時から同じことを語っている人ばかり。でも、手放したり、吹っ切れたり、気づいたりして、みんなどこか雰囲気や話す内容がやわらかく、しなやかになっているように感じました。
私自身も、ゼミで自分の”当事者性”とサービスの癒着を剥がし、自分自身や自分の経験とサービスとを一定の距離に保つことができるようになり、軽く、柔軟になれたように感じています。

※MAKERS THE DEMODAY:https://makers-u.jp/demoday2023

Q.
毛受さんが自分自身や事業に与えた影響、メンターである毛受さんとのやりとりで印象に残っていること、また、月1ゼミでの学びや気づきを教えて下さい。

これは、毛受ゼミの話を友人とするときにいつも話しているんですけど、最初のゼミで「ひかりちゃんはFocus onから離れた方が良い」と言われて。
正直、意味がわからなかったです。でも心の深いところで、”嫌だ””怖い”という気持ちになって、その場ではヘラヘラ笑って流して、アドバイスを受け取れませんでした。
それでも、確か第2回のゼミでも同じことを言われたんです。”しつこい”と思ったと同時に、私にとって、気づくべきことがあるから何度も伝えてくれているのでは?と考えるようになりました。ただ、全く理解ができなくて。毛受さんのその言葉を理解するために、2泊3日で瀬戸内海の島に行って、ひたすら海を見ながら頭を悩ませていました笑
思考する中で、自分のビジョンや個人的に叶えたい夢、経験…を整理していくうちに、「Focus on=自分(の経験)」ではないことにふと気づいて。納得して。
そこで初めて、Focus onという自分のサービスと私自身の経験や自我が癒着していたから、サービスに批判的なフィードバックをもらうと自分自身を否定されているように感じて苦しかったんだ、と気づきました。
毛受さんのいう”離れた方が良い”という言葉は、私の経験とサービスとの距離を離して考えろ、ということ(少なくとも、その時の私はそう気づき、納得しました)だったのかと解釈できました。
そこからは自分自身もとても楽になりましたし、サービスについて語る語り方も、MAKERSに入った当時とは全く違うものになっていると感じています。

Q.
MAKERS UNIVERSITYに入学してから、一番印象に残っている出来事は何ですか?

プログラム期間中の記憶がサボっていた記憶しかないのですが笑
内野さんがU18の話で私の名前を出してくださった時と毛受さんが東海学生アワードの話で私の名前を出してくださった時の両方とも、ちょうど離席中(サボり中)で、あとから「ひかり名前呼ばれてたよ!」と言われたのは印象に残っています笑

ただ、最も印象が強いのは先ほどの質問で回答した毛受ゼミでの出来事ですね。毛受ゼミは今もとても好きな場所で、8期のゼミを兼ねて先輩も集まって八丈島で合宿をしたり、この前も毛受ゼミ数人で期を跨いでご飯会をしたり。いつも、そっと気づきを与えてくれる安心安全な居場所です。

Q.
MAKERSに入ったからこそ得られたことや、MAKERSがあってよかったなと感じていることを教えてください。

私は、7期のプログラム期間よりも、デモデイから今にかけて、MAKERSや同期の存在にとても支えられているなと感じています。
7期の期間には、ゼミ以外全然参加していなかったですし、おそらく同期の多くよりもMAKERS7期に愛着を持っていなかったので、積極的に人と関わろうとはしていませんでした。しかし、デモデイで「全然変わっていないのに、全く違う」同期の姿に気づき、急に親近感が湧いたり、愛おしいと感じるようになりました。そこから、同期とプログラム外でご飯に行ったり、遊びに行ったりするようになりました。
今も定期的に会う同期がいるのですが、事業の話より、「お腹空いた〜〜〜」「卓球やろうぜ」とお互いそれぞれの場所で戦いながらも、特に生産性のないゆるい時間を共有できる瞬間にとてもとても支えられています。

Q.
学生向けの起業支援プログラムやビジネススクールが沢山ある中で、MAKERS UNIVERSITYがそれらと違うのはどこだと感じますか?

MAKERS生の「自分が社会を変えるんだ」という覚悟とそれへの信頼の深さが違うと強く感じます。
だからこそ、他のプログラムで出会う人よりも、社会や未来について語る時間が圧倒的に多いですし、その規模が違います。そしてそれを語る仲間の目はとっても真っ直ぐキラキラしていて、「自分もこの人たちと、10年先、20年先を作っていくんだ」と思わせてくれます。
プログラムの内容云々より、集まる人の”純粋な狂気”が他のプログラムでは再体験できないほどのものがあるなと感じます。

Q.
あなたとってMAKERS UNIVERSITYを一言で表すと何ですか?

不登校的関わり方も”あなたのできる関わり方で良い”と受容してくれる場所。

ここまで、何度か”サボった”という表現を使いました。すみません、カッコつけてました。
自発的に”めんどくさ〜”とサボったのではなく、何度も人混みといろんな声が混ざる感じとか、軽めのフラッシュバックをして、プログラムから抜けていました。
7期の”応援団の会”というデモデイのように多くの人が集まる会も、東京に前泊して、ピッチ練習をして寝たのに、朝になったら緊張して、お腹が痛すぎて。
運営の飛鳥さんに連絡して、泣く泣く帰宅しました。それでも、「大丈夫だよ!」と次の私の関わりを待っていてくれたり、8期の応援団に行けた際には、先輩に「頑張ったんだね」と声をかけていただきました。
不登校経験があったうえで起業している人が多い印象なので、もしかしたら同じように、「興味はあって、参加したくて、みんなと仲良くなりたい。でも、どうしても体が受け付けない瞬間がある…」みたいな人もいるのかな?と思い、このエピソードを書かせていただきました。

MAKERSはいろんなバックグラウンドで、いろんな人や場との関わり方をしようとする人の集まりです。自分なりのスタイルで長く付き合っていけるコミュニティだと感じています。

Q.
あなたの人生や事業を通じて「こんな世の中・こんな未来を実現したい!」というビジョンを教えてください。

私は、「人々が互いの世界を覗く感覚で相互に理解できる社会」を実現していきたいと考えています。
社会とは、違うバックグラウンドを持ち、違う価値観、見え方、解釈を持った人々が同じ場所で協働することによって成り立っていると考えています。
だからこそ、目の前の人から世界はどのように見えているのかについて、お互いに想像し、知ろうとすることができる社会を目指したいです。
そうすれば、発達障害の有無に関わらず、当事者/非当事者の枠を超えて、互いに知ろうとできる、もう少しだけあたたかい社会になると考えています。

(*このインタビュー記事は、2023年9月時点のものです)

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PROFILE

森本陽加里 立命館大学産業社会学部3年(休学) / 一般社団法人Focus on 代表理事
愛知県2002年生まれ。自分自身が通常学級に在籍していた発達障害の当事者。小中学校の間に不登校を2度経験する。
学校に行きたかったのに、行き続けることが難しかったり、”普通”に見えてしまう/困っているように見えないことから、理解してもらいにくかったりという生きづらさを感じてきた。高校生で、小学生時代の自分の生きづらさに共感する小学生に出会い、「5年以上経っても現実が変わっていない」と衝撃を受け、「自分が変えていかなくては」と、アプリ立案/起業に至る。第7回高校生ビジネスプラングランプリ審査員特別賞、第19回CVG全国大会日刊工業新聞社賞受賞。

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