MAKERS UNIVERSITY

STUDENT INTERVIEW
塾生インタビュー

子どもたち、一人一人の才能を大切に、将来にワクワクできる世界を作る。

越川光さん

名古屋大学大学院経済学研究科博士前期1年 / 株式会社エドギフト 代表取締役

MAKERS UNIVERSITY 8期生

Q.
MAKERS UNIVERSITYに応募する前はどんな想いで、どのようなことに取り組んでいましたか?

活動を始めた当初は貧困家庭支援や学習支援のボランティア活動を行ったり、探求学習を支援する学生団体を運営したり、個人で家庭教師を行ったりと、様々な角度から「子どもの生育環境」を観察していました。
その後は教育プログラムを開発して、夏休みには80名の子どもが参加するイベントを開催しました。当時は「教育」という分野に重点を置いて考えていて、活動のほとんどは「教育」に関わることでした。
これらの活動を通して、所得や教育意識、親の価値観・考え方など、同じ時期に様々な家庭を見ることができたことはとても価値のある経験だったと感じています。

Q.
現在はどんな事業やプロジェクトに取り組んでますか?その事業やプロジェクトに挑む背景や想いも含めて教えて下さい。

現在は「組み立ておもちゃテグミー」の開発を行っています。

テグミーは大きさとカタチの異なる6種類の平面パーツから、指先を使って何百種類の立体作品を作り出すおもちゃです。幼児期の知育や発達、指先が極端に不器用な子どもの療育への活用が期待されていて、現在までに30以上の児童施設に導入されています。

テグミーで伝えたいことは試行錯誤の楽しさです。全ての子どもたちに答えのない中で工夫して創造していく、これからの人間にこそ求められる感性を養ってほしいと考えています。

これらの活動への思いとしては子どもの身の回りにあるヒト・モノ・コト・情報という様々な要因で構成される生育環境において、まず自分達が取り組むことができるのが「モノ」であると考えたからです。スポンジのような吸収力がある子どもたちは、身の回りにあるモノから考え方や価値観を形成していきます。そのため生育環境に良い影響を及ぼせるのではないかと考えました。


Q.
MAKERS UNIVERSITYにはどんな想いや期待感で応募しましたか?

名古屋で活動を始めたのもあり、当時は東京での人とのつながりや出会いが希薄になっていました。そんな中でMAKERSで得たいと考えていたのは同世代の仲間達や、MAKERSの応援団の方々との「出会い」です。

特に同世代の人は同じような悩みを抱えている可能性が高く、それがセミナーや講習といった従来の学びではなく、本気でそれぞれが、事業やプロジェクトを進めていく中で一緒に悩み考え実践することで、MAKERS以降も自身に気づきや学びを与えてくれる存在になるのではないかと感じていました。またMAKERSに関わっている応援団の方々は普通では出会えないような、起業を志すきっかけにもなっていた方々で、自分よりもさらに高いレイヤーで物事を俯瞰した示唆をいただける機会になるとワクワクしていました。

Q.
実際にMAKERSに参加してみて、自身にとってどんな変容や進化がありましたか?

思考の深みが増していきました。MAKERS生は「子どもの居場所づくり」や「シークレットシューズのD2Cブランド」「AIでの服のリメイク」「核の廃絶」といったように多種多様な活動をしています。しかし共通する点は「思考の深さ」と「仮説に基づく行動量」にあると思っています。自分自身はMAKERSに入る前は「教育」という視点を大切にしていましたが、思考を重ねていく中で、それすらも1つの手法なんだなと感じるようなりました。

また、自分自身はあまり人に相談するタイプではないと思っていたのですが、ガンガン相談して声をかけていく周りのMAKERS生を見て、自分も自然と周りに相談するようになっていました。「法人営業ってどうしてる?」という相談に2時間近く乗ってくれた人もいて、お互いの熱量や行動がぶつかり合う場所がMAKERS UNIVERSITYだと思っています。

Q.
荻原ゼミが自分自身や事業に与えた影響、メンターである荻原さんとのやりとりで印象に残っていること、また、月1ゼミでの学びや気づきを教えて下さい。

荻原ゼミで大切にしているのは「心理的安全性」と「内省」です。良かったことから失敗したことまで、とにかくなんでも話せる環境にしようというのと、それを踏まえて「内省」をどれだけ出来ているのかを、掛け合いの中で確認していくコミュニケーションが多いです。自分の場合は事業というよりも、理念整理の部分で悩んでいる時期が長くありました。そのため、その点についての思考のプロセスを説明した上で、こんな仮説を持って取り組みたいといったような発表をしたときに「それは事業に取り組む中での悩みとして、とても良い悩みと考察だね〜」といったように肯定した上で、「〇〇のケースがあったりするから、こういう動きは良さそうだよね」といった示唆をいただいて、仮説のブラッシュアップにつながったのを覚えています。

Q.
MAKERS UNIVERSITYに入学してから、一番印象に残っている出来事は何ですか?

事前カリキュラムの中で行ったライフストーリーテリングです。ライフストーリーテリングは初めて出会ったMAKERS生同士で生まれた時から今までの人生の歩みを話すのですが、初対面の人にここまで全てを話すのは初めての体験だったのでとても印象に残っています。
それを何度も繰り返す。合計で10時間くらいやってたんじゃないかと思うぐらい何度も何度も繰り返しました。最終的には開示する情報が無くなっていき、最近ハマってる趣味のことを熱弁したり研究の話をしたりしていたのですが、このライフストーリーテリングを通して初めて出会ったMAKERS生数十名が1週間で親友なのかと思うぐらい共鳴できるようになっていきました。

※事前カリキュラム: https://makers-u.jp/syllabus

Q.
MAKERSに入ったからこそ得られたことや、MAKERSがあってよかったなと感じていることを教えてください。

MAKERSのコミュニティの質の高さだと思います。MAKERSの先輩から現役生までそれぞれの思いが非常に深く、多くの仮説検証を重ねている人が多いので、先輩や現役生といった枠組みに関わらず期を超えてつながり、共創しているところがとても素敵なポイントだと感じています。
また、外部の人と話す際に、MAKERSの話をすると、既にMAKERSの存在を知っていただいていたり、関係者であったりすることが非常に多く、以前採択されたアクセラレーションでは4社のうち2社がMAKERSの学生ということもありました。学生起業家のコミュニティとしてとても評価されているコミュニティなんだなと感じます。

Q.
学生向けの起業支援プログラムやビジネススクールが沢山ある中で、MAKERS UNIVERSITYがそれらと違うのはどこだと感じますか?

多くの学生向けの起業支援プログラムは、学生は就活でのガクチカに使ったり、企業側は採用として使ったりしているケースが多いと思います。実際に受講してみたら人事の人が運営だったなんてケースも珍しくありません。また、学生向けのプログラムだと起業するもっと前の段階にアプローチするようなプログラムが多い印象です。
その中でMAKERSはすでに起業していたり、活動を行っているひとが集まるので志や熱量の高い人が集まっている点が、圧倒的に違う点かと思います。また、完全にNPO法人が運営しており、協賛も企業ではなく起業家個人から受け取っている形式で、全く裏の思惑のようなものはなく、真っ直ぐに「想い」に寄り添う運営の方々とコンテンツしか存在しないので、集まっている参加者もそういった真っ直ぐな想いを信じて、行動し続けている人が多いです。こういったある種の狂気的な純粋さはMAKERSにしかないことだと思っています。

Q.
あなたとってMAKERS UNIVERSITYを一言で表すと何ですか?

運営の方々は動物園という表現をされることがありますが、動物園というよりサファリパーク、いやアマゾンのジャングルのような、多種多様な姿・形で弱肉強食の自然界を生き残る生命力に溢れた人がいる場所です。とにかくそれぞれが目標達成と成長に向けて貪欲に、そしてそれぞれの手法でチャレンジしています。そういった周りのMAKERS生の姿を見ているだけでもワクワクできるのがMAKERSジャングルの特徴です。

Q.
あなたの人生や事業を通じて「こんな世の中・こんな未来を実現したい!」というビジョンを教えてください。

ミッション:すべての子どもが将来にワクワクできる今(=生育環境)を実現します。そして親が抱える子どもの将来への不安を少しでも軽減することで、幸せな子どもと日本、世界を作ります。

ビジョン:今の子どもを取り巻く環境では依然として「障害、不登校、格差・・・」といった数多の課題が存在しながら、技術進歩の著しい発展によって必要とされる人間のスキル自体が変わっていく激しい社会変化への対応が求められています。そこで生きづらさや将来に不安を少しでも抱える状況にある子どもとその家族の為の事業を行っていきます。

バリュー:「才能に届ける。」
すべての子どもにはそれぞれの才能(ギフト)があります。しかし、その才能が不安によって見えなくなってしまうことがあります。一人一人の才能を大切に、そして将来にワクワクできる世界を作るために、すべての子どもの才能に事業を届けます。


(*このインタビュー記事は、2023年9月時点のものです)

関連URL

株式会社エドギフト
組み立ておもちゃテグミー
グッドトイ2023受賞

メディア掲載歴

中日新聞、ZIP-FM「Wakey Wakey」、ZIP-FM「Start up[N]」、中部経済新聞、NHK「おはよう東海」、朝日新聞出版「AERA」

PROFILE

越川光 名古屋大学大学院経済学研究科博士前期1年 / 株式会社エドギフト 代表取締役
2000年3月15日に千葉県柏市生まれ。幼少期からうまく周りと馴染めないことを悟る。小学校3年生の時にリーマンショックの影響で父親が失業してアルコール漬け状態の家庭で育ったことで、育つ環境が子どもの人生にどのような影響を与えるかといった「子どもの生育環境」に興味を持つようになった。そこで大学では親の所得が1%変化した時に子どもの所得がどれくらい変化するのかといった数値を示す「世代間所得弾力性」のメカニズムを勉強している。
学外では学習塾・自然教室・家庭教師・認可外保育園にて3歳から浪人生まで、全ての年齢への指導経験を積みながら、子どもが育つ環境を学んできた。その後大学4年次に教育プログラムや組み立ておもちゃ「テグミー」の開発を行う株式会社エドギフトを設立し現在に至る。

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