MAKERS UNIVERSITY

STUDENT INTERVIEW
塾生インタビュー

水処理事業を通じて、世界中が汚水に困らない世界を作りたい。

大森美紀さん

京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士一貫過程2年 / 株式会社Nocnum (ノックナム) 代表取締役

MAKERS UNIVERSITY 8期生

Q.
MAKERS UNIVERSITYに応募する前はどんな想いで、どのようなことに取り組んでいましたか?

2020年まで普通の大学生・大学院生として生活していました。大学では宗教や社会学、途上国開発に関わる文化人類学などに取り組んでいて、その中でも興味があった宗教学を学びにイギリスに留学をしたりしていました。大学院ではその経験を活かしてアジア・アフリカ地域研究研究科という場所でインドネシアのイスラームに関する研究をしていました。2021年にスタートアップの世界に入り、大学内で出会った研究者と学部生と、途上国の水インフラへの興味という部分で意気投合し、研究者の研究成果を社会実装するところから始めよう、ということで3人で合意して起業するに至りました。社会実装に向けて自治体との協業可能性を探りながら補助金をいただいたり、ピッチイベントに参加して支援者を募る等していました。

Q.
現在はどんな事業やプロジェクトに取り組んでますか?その事業やプロジェクトに挑む背景や想いも含めて教えて下さい。

事業やプロジェクトにMAKERS参加前後で変更はありません。
世界の水問題を解決し、人々の生活を豊かにしたいと思っています。

※詳細は質問10あたりに記載しています。

Q.
MAKERS UNIVERSITYにはどんな想いや期待感で応募しましたか?

2021年前後の起業当時は周囲に同年代の起業家はほとんどおらず、大学関係の一部のスタートアップ支援者等の関係者に限られていました。特に仲のいい起業家がいたり気軽に相談できる先輩起業家もいなかったので悩みを話せる相手がおらず、かなり孤独を感じていました。
そんな中、MAKERSの〆切当日に、何期か前にMAKERSに参加していた先輩起業家にたまたま会い、「MAKERS、もりぴに合ってそうだから申し込んでみなよ!」と誘われたので、急ピッチで準備をしてMAKERSに申し込みました。せっかくだし面白い仲間ができればいいな、という軽い気持ちでした。当時の先輩には今もお世話になっており、誘ってくれたこと、本当に感謝しています。

Q.
実際にMAKERSに参加してみて、自身にとってどんな変容や進化がありましたか?

自己開示ができるようになったことが一番の変化です。

MAKERSの中では年長組なので、初回の合宿の最初は「みんなより大人だからしっかりしなきゃ!」とか「かっこよくいないと!」みたいな気持ちが強くてすごくお堅い自己紹介をしてしまった気がします。
おかげで序盤は誰にも話しかけれもらえないし、ちょっと怖がられてそう、くらいな感じで(笑)

こういうことってMAKERS以外にもよく起きていました。人に頼らせることは得意だけど頼ることは苦手だから、他人からするとちょっと近寄りがたい存在になりがち。
でも時間をかけて仲良くなるとふざけはじめたので、周囲には「最初からオープンに弱いところ見せていった方がいいよ」とアドバイスをもらいました。
そんなことを面と向かって、真剣に言ってくれる人がたくさんいるので自然体でいられるようになりました。

Q.
佐俣奈緒子ゼミが自分自身や事業に与えた影響、メンターである奈緒子さんとのやりとりで印象に残っていること、また、月1ゼミでの学びや気づきを教えて下さい。

佐俣さんは「仕事は人生の一部だから」と言っていることが多いな、と思います。
ワークライフバランスが狂いがちな佐俣ゼミのメンバーにとっては、佐俣さんの言葉のおかげで自分の仕事とプライベート、それぞれで何を達成したいのか、どういう状態にありたいのかを考えるきっかけになっています。

事業に関するメンタリングですごく嬉しいのは、私が言語化できていないモヤモヤや躓きの原因に気づき、その解決方法を示してくれるので立ち止まる時間がすごく短くなったことです。PL引いてみれば解決策が分かるかも、自社の経営陣と話せば見えてくるかも、自分が目指す方向性を考えれば答えは出るかも、といった、ヒントをたくさん頂けます。

Q.
MAKERS UNIVERSITYに入学してから、一番印象に残っている出来事は何ですか?

一番印象に残っているのは、2月の事前カリキュラム内で行ったプロジェクトワークです。プロジェクトワークの前まではあまり自分の性格が出せなかったのですが、チームになったみんなと結構話す機会ができて初めて自分を出せるようになりました。
その中でも印象的だったのは、プロジェクトワークのチームメンバーの一人に言われたことです。彼が自分の仕事が忙しすぎてキャパオーバーになりかけているときに、「一旦私たちに任せて帰っていいんだよ、大事なのは自分の事業だから」と促したときのことが彼にとっては衝撃的だったらしいのです。
曰く、全部全力でやるのが当たり前だと思っていたけれど、他の人に頼っていいことを初めて知った、と。一方で、「もりぴは人に『頼っていいよ』って言うくせに、自分は誰にも頼らないよね。いつか倒れそう」と後日指摘され、衝撃を受けました。私自身も、人に弱いところを見せて頼るという能力が足りていなかったし、いつか自分の身を滅ぼすのかもしれない、と少し怖くなりました。おかげで今は適度に頼ることを覚え、オープンマインドになったので、以前よりは関わりやすい人間になれたと思います。

※事前カリキュラム: https://makers-u.jp/syllabus

Q.
学生向けの起業支援プログラムやビジネススクールが沢山ある中で、MAKERS UNIVERSITYがそれらと違うのはどこだと感じますか?

とにかく友達ができること!
近い年齢、近い価値観を持つ人と会えることです。

自分で事業やプロジェクトを持っていると、起業支援プログラムに参加しても基本的には年齢がそこそこ上の先輩起業家やプログラムにいるメンター陣に相談するとか、そういった立場が違う人々が相談相手になります。ただそうなると、本音を話しづからかったり、話してもあまり共感が得られなかったりすることもあります。
また、他のプログラムだと、参加者同士コミュニケーションはプログラム前後の自由時間に軽く、といった程度で、薄い繋がりしか生まれません。ですが、MAKERSは最初の合宿やプロジェクトワークがあるおかげで密なコミュニケーションが取れるので、仕事の枠を超えた友人を作りやすいです。学生起業家にとって利害関係なく話ができて、しかも心理的な理解を得られる友人ってとても貴重なので、それが得られるMAKERSはとっても素敵なプログラムだと思っています。

Q.
あなたとってMAKERS UNIVERSITYを一言で表すと何ですか?

仲間ができる場。
自己内省が促される場。

Q.
あなたの人生や事業を通じて「こんな世の中・こんな未来を実現したい!」というビジョンを教えてください。

人生を通して行いたいことは世界の人々が持つ困りごとを解決してしあわせになってもらうことです。私を育ててくれた祖父母に言われたのは「自分が豊かであると思うのならば、ずっと自分で持ち続けるんじゃなくて持っているものを他の人に上手に渡して役立ててもらうのがいいんだよ」という言葉でした。自分で言うのもどうなの、とは思いますが、これまですごくいい人生を送ってこれたので、私の人生は人の役に立つものにしたいと思っています。

Nocnumの水処理事業では世界中が汚水に困らない世界を作りたいと思っています。水は現代の人だけでなく、未来に生きる人々や自然環境にも大きな影響を与えます。排水の管理が行き届いていないことが原因で亡くなる方をゼロにしたい、そのための開発をしていきます。

また、私の本来の研究領域は宗教・文化と開発です。事業自体はハード部分を取り扱っていますが、国内外の文化の発展や宗教理解の促進によって人間のソフトな部分にも豊かさを届けていきたいです。


(*このインタビュー記事は、2023年9月時点のものです)

関連URL

株式会社Nocnum

メディア掲載歴

Tomorubaニュース
つくば市HP 令和4年度つくばSociety 5.0社会実装トライアル支援事業
名古屋銀行ニュース
DX.WITH
朝日新聞

PROFILE

大森美紀 京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士一貫過程2年/株式会社Nocnum (ノックナム) 代表取締役
愛知県在住の26才。株式会社Nocnum代表取締役。
2022年11月に株式会社Nocnumを設立し、自治体を顧客としたオンサイト排水処理設備の遠隔監視IoTセンサーの実用化に向けて事業を本格始動。「Water Value Chain for us, for future communities」をミッションとして国内外における水問題の解決に邁進している。2022年5月にはJapan Business Model Competitionで優勝し、同年9月には日本代表としてシンガポールで開催されたAsia Business Model Competitionに出場するなど、グローバルな展開を見据えた活動をしている。
また、女性のエンパワーメントにも関心を持ち、多様性と包括性を重要視した経営を行いながら、技術革新と社会的な価値創造の追及により、水問題の解決に取り組んでいる。

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