MAKERS UNIVERSITY

STUDENT INTERVIEW
塾生インタビュー

MAKERSに入り、僕は自分の人生に妥協をすることがなくなりました。

小川泰佑さん

医学部3年 / 一般社団法人ari 代表理事

MAKERS UNIVERSITY 8期生

Q.
MAKERS UNIVERSITYに応募する前はどんな想いで、どのようなことに取り組んでいましたか?

医療の本質は、患者さんの生活をより良くすることだと思います。しかし、、医療者として病院の中で患者さんと接していても、患者さんの生活背景まで診ることは困難です。だから僕たちから病院の外に出て、同じ地域住民として関わって見える生活を日々の診療に還元したい、そんな想いで医学部1年生の夏に学生団体を立ち上げ地域活動に熱中していました。

ゴミ拾い、ラジオ体操、社会的な孤立を解消する図書館の設立、子ども食堂まで、色々と挑戦していました。どの経験も全てが大切な出来事で、今の自分を作ってくれたご縁に恵まれた学生団体時代でした。あとは、社会を学ぶために政党に所属し、ベトナムの国家主席と意見交換したり、県知事と若者による意見討論会を開催させていただいたりしていました。あとはビールが好きで原料のホップの成分解析をしていたり、ゆくゆくは認知症予防のビールを開発しようとも考えていました。

Q.
現在はどんな事業やプロジェクトに取り組んでますか?その事業やプロジェクトに挑む背景や想いも含めて教えて下さい。

現在は宮城県の医療的ケア児における移行期医療問題を解決するプロジェクトを進めております。医療的ケア児とは人工呼吸器や胃ろう等を使用し、たんの吸引や経管栄養などの医療的ケアが日常的に必要な児童のことです。移行期医療とは小児期に発症した病気をもつ患者が成人期に向けて診療を受ける際、小児期医療から適切な成人期医療へ移り変わる医療期において何科の医師が診れば良いのかが不透明であるという問題のことです。僕は子どもとそのご家族がより自分の人生を生きることができるよう、まずは医療を整えることを己の果たすべき使命として日々邁進しています。その先に、子供たちが家族から、地域から愛されるような明るい未来が実現できると信じております。


下: 小川くんが訪問サポートしている医療的ケア児の子に、マニキュアを塗ってあげた時の様子

Q.
MAKERS UNIVERSITYにはどんな想いや期待感で応募しましたか?

東北という地方に住んでいたからこそ、自分とは全く違う価値観・経験を持つ同世代から刺激を受けて視野を広げたい、自分の限界値をさらに上げるため、各々が己の使命に命を燃やしているコミュニティに所属したい、そんな想いで応募しました。元々信頼を置く仲の良い友人がMAKERS生だったこともあり、そのような方々と関係性をとにかく大切にするMAKERSで仲間として関われることが楽しみで仕方ありませんでした。

一方で、僕は投資家から資金調達してどんどん進んでいくスタートアップではなく、腰を据えてじっくり社会課題に取り組むタイプでしたので、自分との属性が異なる人と出会うことに少し緊張しておりました。実際、その緊張はMAKERSが始まったらすぐに吹き飛びます。東北ではMAKERS生が中々居らず僕も寂しいので、この文章を読んでくださってる東北勢の貴方、ぜひ一緒に東北を盛り上げて参りましょう!仙台に来てくれたら美味しいビールを飲めるお店をご紹介します!

Q.
実際にMAKERSに参加してみて、自身にとってどんな変容や進化がありましたか?

自分の人生に妥協をしなくなったことです。僕が感銘を受けているという意味で、「なんでその領域に、そこまでの情熱と感動を注いているの?!」と思ってしまうような仲間がMAKERSにはたくさんいます。自分の人生の軸を信じて突き進んでいる仲間達を見ていると、僕も僕が信じる方向に目を向けて、自分の信念を胸に人生を爆走していこうと思えるんです。いきなりそんな劇的な変化は起こりません。最初は、仲間が取り組んでいる領域の言葉の意味を学び、背景の想いを消化するところから始まります。そして、仲間が実際の事業を進める現場を見てみたりすると、壮絶な努力がそこにはあったことが直観的に分かり、魂が震えるんです。その時、無意識に「僕も自分の人生に、生き方に妥協せず生きていこう」と思える瞬間が必ず来ます。

Q.
小沼ゼミが自分自身や事業に与えた影響、メンターである小沼さんとのやりとりで印象に残っていること、また、月1ゼミでの学びや気づきを教えて下さい。

小沼さんは、顧客と真摯に向き合う姿勢を、僕の魂に刻んでくれました。月1ゼミで自分の事業進捗を報告する際に、僕がこうモヤモヤしていることを伝えました。「僕の人生理念は責任・献身・使命で、その理念を大切にするため医学部に再受験し、法人も設立し、資金調達をしたりしました。だから、僕としては医学で目の前の人生と真摯に向き合いたいです。でも、いま患者さんやご家族からも求められているのは、医学ではないただの小川泰佑です。いったい自分がなにをするのが正解なのか分からなくなってしまいました」と。そうすると小沼さんは「誰に胸を張りたい?そして、その胸を張りたいと思った相手が本当に心から幸せだと感じられる行為や想いを、小川君が胸を張ってその相手に伝えたり、実践してごらん。」そう仰っていただきました。胸が熱くなりました。この姿勢は、僕が法人の代表だろうが、医師だろうが、絶対に忘れてはいけない姿勢だと強く感じ、今もその姿勢を大切にして事業と学業に励んでおります。

Q.
MAKERS UNIVERSITYに入学してから、一番印象に残っている出来事は何ですか?

どれも印象に残りすぎて非常に答えづらい質問ですね。今まで真面目に書いていたので、少し肩の力を抜いた出来事を挙げると、僕がいるMAKERS8期生の飲み会での出来事です。飲み会も中盤に差し掛かったところで、自分の身を粉にして事業に邁進するMAKERS生の恋愛事情は一体どんなものなのか、という話題になり、一度パートナーが居るか居ないかを調査することになりました(n=17人くらい)。その結果、パートナーが居るMAKERS生は5人でした。そもそもパートナーが居ることによって幸せかどうかは、個人の価値観に基づくため、5人という数字が良いのか悪いのかは判断することができません。しかし、パートナーが居ない人達の数名は阿鼻叫喚の状態だったということはお伝えしたいと思います。

Q.
MAKERSに入ったからこそ得られたことや、MAKERSがあってよかったなと感じていることを教えてください。

全国各地にアツい繋がりが生まれることです。実際の話ですが、僕が大学の病院実習で東北の病院に研修しに行った際、丁寧に僕をご指導いただいた医師の先生が後々MAKERS生だったことが判明し、その後僕の人生相談に乗って下さったり。僕の故郷の北海道でラーメン屋を経営するMAKERS生に会いに行った際、同じくラーメンに命を懸けている同世代の仲間を紹介してくれたり。全国各地にMAKERS生が潜んでいて、その出会いはとても面白いです。皆さんの尊敬している人の近くにも、実はMAKERS生がいるかもしれません。というか確実にいます。

Q.
学生向けの起業支援プログラムやビジネススクールが沢山ある中で、MAKERS UNIVERSITYがそれらと違うのはどこだと感じますか?

このMAKERSは、卒業がなく、数字ではなく人間性を育める大学であるため、一生の仲間・師匠だと心から思える人達と出会えることが、何より大好きなところです。他の起業家支援プログラムは終了があったり、成果主義のため結果で己の価値が判断されてしまうことがよくあると思います。ですが、MAKERSはとにかく自分の内面と向き合い、事業と共に自分自身も大成長することができます。MAKERS名物の長期にわたる合宿も、最初は何のために長い時間をかけているのかが分かりませんでした。ですが、徐々に分かってきます。最初に時間をたっぷり掛けて、丁寧に自分と相手との関係性を育んでいくことが、起業家である前に人としてどう在りたいかと向き合うための1番の近道だということを。こんなことは、期間が決められていたり、成果主義の要素があるほぼすべての起業支援プログラムでは実現不可能です。比べる基準によって良し悪しがあると思いますが、僕はこのMAKERS UNIVERSITYという大学と人が大好きです。

Q.
あなたとってMAKERS UNIVERSITYを一言で表すと何ですか?

僕にとってMAKERS UNIVERSITYは、苦手な自分も愛せる居場所です。MAKERSに入ってからの方が、より難易度の高い問題に直面する機会が多くなりました。その時に、向き合わなければいけない苦手な自分と向き合う勇気を、このMAKERSでは溢れんばかりに貰えます。そして仲間たちにその勇気が枯渇してきた時は、逆に僕らからその勇気を溢れんばかりにお裾分けします。でも、たくさん無理して向き合うことは自分にも仲間にも強要しません。むしろ、向き合おうとした想いによく頑張ったね!と労いの言葉が飛び交います。そんなMAKERSは、僕にとってかけがえのない居場所です。これからも沢山お世話になると思いますし、僕にできることがあれば是非貢献させてほしいと思っています。

Q.
あなたの人生や事業を通じて「こんな世の中・こんな未来を実現したい!」というビジョンを教えてください。

僕は「大切な人の大切な人まで想う社会」を実現します。急に赤の他人に優しくなることは難しくても、大切な人の周りから優しさを持って接することができれば、その愛情はどんどん広がり、生きていてくれて心からありがとうと想い合える社会が実現されると信じています。そのために僕がやりたいことは、生きていてくれて心からありがとうという想いが込められた医療と福祉で、目の前の人生に向き合うことです。今僕の前にいる患者さんやその家族の人生に真摯に向き合い続けることが、僕の譲れない使命でもあり、彼ら彼女が笑顔になる前でも後でも、僕の言葉と行動で生きていてくれて心からありがとうと伝えます。読者の皆様、最後まで読んで下さって、とても嬉しく思います。本当にありがとうございました。

(*このインタビュー記事は、2023年9月時点のものです)

関連URL

一般社団法人ari

メディア掲載歴

日本経済新聞、河北新報、ミヤギテレビ、khb東日本放送

PROFILE

小川泰佑 医学部3年 / 一般社団法人ari 代表理事
1999年北海道江別市生まれ。
東北の医学部医学科3年生。同志社大学時代、スタートアップ支援を行うNPO法人のインターンとしての経験から、医学で目の前の人の人生に真摯に向き合いたいという願いが生まれる。そして生き方を変えるため、2020年に同志社大学を休学し、医学部に1年間再受験することを決意する。そして東北の大学にご縁をいただき、現在は東北一の総合診療医と県知事を目指しながら、一般社団法人ariを仲間たちと設立し、小児在宅医療の領域からの東北の地域医療に貢献している。総合診療医は全身の病気を診ることができ、目の前の人生に最後まで寄り添えられる手段として、県知事は一人一人の声を大切に聴いてきたからこそ、その声を社会構造に反映させる手段として掲げている。

戻る