STUDENT INTERVIEW
塾生インタビュー
僕にとってMAKERSは、不愉快という言葉が適切に思えてしまうほど惨憺で蘞味のある場所でした。
立原大雅さん
慶應義塾大学 総合政策学部3年 / 株式会社No.Service 代表取締役
MAKERS UNIVERSITY 10期生

- Q.
- MAKERS UNIVERSITYに応募する前はどんな想いで、どのようなことに取り組んでいましたか?
教育事業や学生団体、NPOの運営等に注力していました。特に、自分はハワイから帰国して、「横並び主義」に強い違和感と問題意識を持っていたので、「まずは自分のような『違和感』を抱えて生きていたり、無力感を感じている学生の未来を照らせるような活動がしたい」と思い、高校を辞めてから起業して不登校支援等の活動に注力していました。起業以外にも、NPOや学生団体という切り口から、大きな括りで「学校や職場以外の場所で人と社会の接点をつくる活動」を多様なアプローチから実践していました。大学入学後もこれらの活動に注力しながら、2社目の構想や準備を着々と進めていました。
自分自身そんなに強い人間じゃないですが、だからこそ、色んな葛藤がある中でも、とにかく「自分の人生に対するこだわりや期待を持ちながら、そのこだわりを貫くための行動」だけは惜しまずに実践していたと思っています。

- Q.
- 現在はどんな事業やプロジェクトに取り組んでますか?その事業やプロジェクトに挑む背景や想いも含めて教えて下さい。
「水はサービスじゃない」というメッセージを掲げ、水問題を日常の中に訴えかける、アートとエシカルが融合した飲料ブランド「No.Service」を創業しました。
一発目となるプロダクトでは、静岡・焼津の水をSOT式のアルミ缶に詰め、イベントやライブ会場、ホテルなどの場所で展開します。水問題へのアプローチとして、株式会社SUNDA Technology Globalと協業し、プロダクトの売上の一部を活用して、水問題が深刻化するウガンダにプリペイド式の井戸を設置するプロジェクトとなっています。
RADWIMPSや米津玄師、サザンオールスターズ等を手掛けるアートディレクターの永戸鉄也さんと共にタッグを組んで進行しており、7/4にリリースを致しました。


- Q.
- MAKERS UNIVERSITYにはどんな想いや期待感で応募しましたか?
「打ちのめされたい」とか書いてたと思います笑。僕はまだまだ自分自身に対する解像度も浅かったし、考えることから逃げていたので、経営者として自分より遥かに先を行っている同世代と切磋琢磨できる環境、刺激を与え合える環境に身を置くことで、自分を痛めつけたかったというか、散々否定されたいと思っていました笑。やはり、まだまだ日本はどこまで行っても若い人がちょっと違ったことをやっていれば、大人の「すごいね」が条件反射で飛んでくる国だと思うので、実績も学歴もバックグラウンドも関係なく、今何にどんな筆圧と濃度で取り組んでいて、どんな情熱と冷淡さを纏っているかを、本気でぶつけ合える環境に身を置きたかった、というのが想いとして大きかったです。

- Q.
- 実際にMAKERSに参加してみて、自身にとってどんな変容や進化がありましたか?
自分の人生に妥協しないという覚悟が決まりました。正直、MAKERS に入る前までは、事業や、やってきたことや肩書きが主語で、それしか語らない自分がいました。言ってしまえば、どこか自分の人生を生きている感覚があまりなかったです。若いから、他と違うことやっていれば、褒められますし、別に大して人間としての中身を見られないですし、メディアに取り上げていただけますし。なんか、自分に向き合うことから逃げて、大きな夢・大義を語ることに必死になっていたり、感情のままに行動したり、かっこいいとかいう言葉で簡単に形容されることに囚われていた部分もありました。でも、MAKERSとかいう「多様性」という言葉が軽率に思えるくらい、頭がおかしいくらい千差万別な生き方をしている人がいて、自分なんかより遥かに自分の人生に、やりたいことに、真剣にまっすぐ向き合って生きている同世代を見て、超悔しかったし、自分の思慮浅さと適当加減に絶望しました。でもこの経験があったから、今は自分の人生で譲れないこと、信念、信条、審美眼が確かなものになったし、絶対に自分の人生に妥協せずに生きる、という覚悟ができたと思います。
- Q.
- 成田ゼミが自分自身や事業に与えた影響、メンターである成田さんとのやりとりで印象に残っていること、また、月1ゼミでの学びや気づきを教えて下さい。
こちらの感情に入ってくるわけでもなく、静かに突き刺しにくる、そして何より「会社としての軸」を大切にする考え方が印象的でした。Chat GPTに投げれば事業の小手先のことはある程度クリアにできる時代だと思いますが、ゼミの時間は、事業について考えながらも、ひたすら自分の人生軸・人として目指したいゴール、会社としての軸、事業としての軸を考えさせられる時間でした。明確な解を提示されたり、インプットを強要される、というよりも、成田さんの経験というか、蔵書の中から、今の自分に欠けている必要な一ページを抜き出してぶん投げてくれるような感じというか、独特な緊張感と混沌さがありつつも、どこかに温かみがあったと感じています。なので毎回ゼミが終わると、「スッキリした!ぐおー!」という感じより、ひたすら頭を回転させる時間があって、でもだからこそ粛々と自分なりの答えを固めていけたと感じています。とてつもなく貴重な時間でした。

- Q.
- MAKERS UNIVERSITYに入学してから、一番印象に残っている出来事は何ですか?
最初の2月の合宿が終わって、知人とご飯に行った時に、人生で初めて、人前で、人の人生の話を聞いて泣くという経験をしました。MAKERS外のことを書くな!と怒られそうですが、自分はプライドもそれなりにあるはずだし、弱いから自分を隠して見栄を張り散らかしてきた人間だし、感情移入して人前で泣くとか本当にできない人間で。いやだって格好良く生きたいじゃないですか。でも正直この経験が自分としてはとても印象的でした。
僕はこれまで「人に興味を持ち、感情を寄せながら話を聞く」ということを無意識に避けてきました。根本的には人に関心があるにもかかわらず、そこに踏み込むことは自分を傷つける行為と同義だと思っていたからです。感情を交えて人の話を聞くと、自分自身が疲弊してしまう。さらに、一度相手に興味を持つと、勝手に期待をしてしまったり、相手と自分を比較したりする。根底とても脆いので、そういうリスクを避けるために、人に深く関わろうとする姿勢を、特に会社をやり始めてからは抑えてきました。
だからこそ、人の話を聞いて、没入して、感情を寄せて、その波を受け止めるという経験は、僕にとって極めて大きな出来事でした。自分の内側が確実に変わった、と実感した出来事です。
- Q.
- MAKERSに入ったからこそ得られたことや、MAKERSがあってよかったなと感じていることを教えてください。
絞れるわけがありませんが、大きいのは「自分の信念を少しは信じて、貫いてみようと思えたこと」です。痛切なほどに同世代の起業家や、日本で活躍されている経営者の方の、多様すぎる心胆に触れたことで、混迷しまくりでしたが、その分自分の信念・信条に死ぬ気で向き合うことができました。そして、それを信じて、貫く勇気と覚悟が決まったのは、紛れもなくMAKERSがあってよかったなと思うことの一つです。また、前述した様な「人に感情を寄せて興味を持つ勇気」を少し持てたことは大きかったです。「ついていきたい」と思わせる人間になるためには、大義も情熱も必要ですが、なんだかんだで根底には「人間への解像度と人への興味」が必要なんじゃないかと思うんです。だからこそ、人に感情を寄せる。興味を持って人に向き合う。ということをする勇気が持てたことは、MAKERSという環境があったからこそだと感じています。

- Q.
- 学生向けの起業支援プログラムやビジネススクールが沢山ある中で、MAKERS UNIVERSITYがそれらと違うのはどこだと感じますか?
「経営者の胸底と心胆に触れ、自分と死ぬ気で向き合う」という経験です。重複しますが、やはり明らかに凄いなと感じたのはこれです。普通だったら「考えるのが面倒くさい」とか、「忙しい」とか、「生産性」とかいう言い訳に逃げる様な事柄でも、膨大な時間を使って知らないといけない、やらないといけない、考えなければいけないという経験ができるのは、結構とんでもないことなんじゃないかと思うんです。僕なんか特に「人に、自分に向き合うこと」や「行動や発言の本質を深く考えること」から逃げに逃げてきた人間なので、それを半ば強要させられる環境にいることができたのは、本当に貴重でした。まだまだミジンコレベルの人間ですが、今後の経営で、あるいは人生において、本当に必要なんじゃないかと思う事を体得できたと感じています。
- Q.
- あなたとってMAKERS UNIVERSITYを一言で表すと何ですか?
惨憺な場所です。とかいうと怒られそうですが、本当に、僕にとっては楽しい時間より、ひたすら悩んで考えて、それでも答えが出ない。というような、煩悶とさせられる、不愉快という言葉が適切に思えてしまう様な時間が圧倒的に永く、濃く、厚かったです。自分と向き合った経験もない、頭も良くない、ずっといろんなものから逃げてきた僕にとっては、痛みに直面して、脆さに向き合って、本当に蘞味のある時間だったというのが正直な感想であると同時に、絶対に必要な時間であり、場所でした。もう少し大人になって参加したらどんな景色があったんだろう、と思う自分と、今の自分で参加できてよかった、と思う自分で混沌とする部分もありますが、間違いなく、成長できたと感じています。最後まで逃げずに、向き合うという作業ができた自分を少しは褒めようかなとか思っています。不愉快と、惨憺さに、真正面から向き合った後に見えた景色は悪くなかったです。
- Q.
- あなたの人生や事業を通じて「こんな世の中・こんな未来を実現したい!」というビジョンを教えてください。
人としては、半径5メートルの関わった人に寄り添い続けられる、幸せにできる、守れる人生でありたいです。どんなに会社や事業が成長しようが、地位を得ようが、お金を稼ごうが、凄い経験をしようが、世の中の凄惨さに、もうどうしようもなくなってる人に、それでも強く、がむしゃらに生きようとしている人に、直接、自分の言葉と、手で、未来を照らせるような人になりたいです。今は出来た人間じゃないし、爪楊枝数本で立っているような、脆くて醜い人間ですが、いつかは、そういう人間になりたいし、そういう人生でありたいです。事業としては、今は、水という物質的な資源に着目していますが、精神的な人の内面の孤独や苦悩にも着目していきたいです。生まれ育った国、地域、バックグラウンド、目の前の環境で将来選択が狭まっている人の、選べる未来をつくる。目の前の現状に悲観しなくても良い、自分の好きな自分で生きることができる世の中を作りたいです。
きっと、本当の優しさなんかないし、明るさとか強さとか自信とか大義だけが称誉される、頑張ってるとか言われる、作り笑顔選手権に強制参加させられる、もはや何も考えてないほうが幸せなんじゃないかと思える世の中ですが、せめて自分の関わる人と、自分が作り出すモノでは、どうか、どうか、いつかは、優しい世界が作れたら、と思います。それまでもがいてみようと思います。ここまで読んでいただいた貴方にビッグラブです。

(*このインタビュー記事は、2025年9月時点のものです)
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メディア掲載歴
・小学館 steenz「水」を若者が社会課題と向き合うきっかけに。缶入り飲料水の会社を立ち上げた大学生【タイガ・19歳】
・Fasion snap ミネラルウォーターの新ブランド「ノーサービス」がデビュー 現役慶應生と永戸鉄也によるプロジェクト
・WWD 永戸鉄也のミネラルウオーターブランド「ノーサービス」が誕生 “水はサービスじゃない”をテーマに
・朝日新聞 もし私がサムスンで環境対策をするなら… Z世代が考えたSDGs

PROFILE
慶應義塾大学 総合政策学部3年 / 株式会社No.Service 代表取締役
2005年生まれ。新宿生まれハワイ育ちの20歳。
ハワイの現地校で青春時代を過ごし、高校途中で帰国。転校した日本の高校の「横並び主義」に違和感を抱き5ヶ月で退学。17歳時に教育関連の会社を起業し、キャリア教育事業や不登校支援(職業体験や社会人との対話機会の提供)に取り組んできた。その他「高校生SDGs会議」というサムスン電子やパルシステムなどをスポンサーとし、現在までに600名以上の高校生を巻き込んできたプログラムの創業、環境系NPO法人greenbird渋谷の学生リーダーなどを務めるなど、「生まれ育った環境や目の前の現状に悲観して、将来選択が狭まる人の選べる未来をつくる」をテーマに活動をしてきた。
大学入学後も高校時代に取り組んでいた活動を続ける一方で、現在2社目を起業し、飲料ブランドの立ち上げに注力している。
