MAKERS UNIVERSITY

STUDENT INTERVIEW
塾生インタビュー

MAKERSは狂気を磨き合う場ですね。どんな場所よりも質の高い狂気で溢れています。

平田裕也さん

東京大学工学系研究科 博士課程2年(休学中) / 株式会社MINORICA 代表取締役

MAKERS UNIVERSITY 11期生

Q.
MAKERS UNIVERSITYに応募する前はどんな想いで、どのようなことに取り組んでいましたか?

大学を卒業してすぐ実家の農地を継ぐことになり、どこかに農業で儲けるための技術の種はないかと、大学院で研究しながら探し続けていました。最初は画像AIを活用した農業ロボット作りに挑戦しましたが、どうしても農家さんの手に届く価格にならず、泣く泣く諦めました。そんな時に見つけたのが、今の「植物強化技術」です。特殊な養液を葉に撒くだけで光合成効率を高め、植物内の栄養量を増やせるという画期的な技術なのですが、最初は本当に誰からも信じてもらえませんでした。『あいつは変な液体を売りつけてくる頭がおかしいやつだ』というような噂を流されたときもあり、いつか見返してやりたいという思いで現場実証を続けていました。

Q.
現在はどんな事業やプロジェクトに取り組んでますか?その事業やプロジェクトに挑む背景や想いも含めて教えて下さい。

MAKERS参加前と比べ、現在は実証フェーズが進み、周囲からの信頼は少しずつ高まっているように感じます。一部のアカデミアの研究者からも注目いただけるようになり、現在では文部科学省や自治体からの学術研究予算も獲得して、研究&事業を進めています。

農学分野の大きな課題は、アカデミアと生産現場の距離が離れていることだと思います。どれほど有用な技術データを著名な科学誌で発表しても、それが農家さんの耳に直接届くことはほとんどありません。もちろん論文や学会で成果を残すことは重要です。それがないと来年の研究予算の獲得に支障が出ますからね。しかし、そこで満足せずに、時には大学のラボを出て泥臭く現場に足を運び、自らの手で社会実装まで担えるような研究者 兼 起業家になりたいです。

Q.
MAKERS UNIVERSITYにはどんな想いや期待感で応募しましたか?

MAKERSの卒業生に強く勧められて応募しただけで、公式ホームページやnoteを読んでも具体的なイメージはあまり湧いていませんでした。正直なところ、『資金提供があるわけでもないのに、10日間も合宿するのはしんどいな』『なぜ著名な起業家の方々が寄付してまで支援しているんだろう?』と、疑問の方が大きかったくらいです。

それでも応募に踏み切ったのは、勧めてくれた先輩たちが皆、人間としてとても魅力的だったからです。『この素敵な人たちがここまで絶賛するなら、素晴らしいコミュニティに違いない!』と、最後は人を信じて飛び込みました。

Q.
実際にMAKERSに参加してみて、自身にとってどんな変容や進化がありましたか?

自分とはバックグラウンドや価値観がまったく違う人たちに深く興味を持つようになりましたね。これまで自分が過ごしていた環境では、学歴や業績、収入といった分かりやすい指標で人付き合いが形成される空気が少なからずありました。
一方でMAKERSには、高卒の人や売上ゼロの人もいます。世間的な物差しで見れば、「すごくないやつら」と評価されるかもしれません。でも、彼らは他の誰にも真似できない独自の挑戦に、狂気的に没頭している。その姿は、どんな立派な肩書きよりも魅力的だと感じます。

Q.
古俣ゼミが自分自身や事業に与えた影響、メンターである古俣さんとのやりとりで印象に残っていること、また、月1ゼミでの学びや気づきを教えて下さい。

古俣ゼミの前に相談資料のパワポを作るときが、自分の考えていることを一番素直に言語化できる時間でした。MAKERS期間中は沖縄に拠点を移して単独で活動していたため、普段接するのは顧客や投資家ばかり。どうしても自分を大きく見せたり、格好つけた話し方になってしまい、気軽に雑談や相談ができる相手もいませんでした。だからこそ、純度100%の本音をぶつけられる場所が必要で、沖縄から毎月欠かさず対面でゼミに参加していました。

古俣ゼミで特に印象に残っているのが、メンバーの一人が事業で深く追い込まれていたときのことです。古俣さんはご自身の答えをすぐに渡すのではなく、『みんなだったら彼にどうアドバイスする?』と私たちに問いかけました。一方的に教えるのではなく、ゼミ生同士で本気で考え、助け合う空間を作ってくれる。事業だけでなく人間性も磨かれる場だったと思います。

Q.
MAKERS UNIVERSITYに入学してから、一番印象に残っている出来事は何ですか?

2月の事前カリキュラム合宿ですね。『どういう基準で選んだの…?』というくらいバラバラ個性の同期に囲まれてパニック状態でした。

当時の自分は、『この場ではどう振る舞えば正解か』『どう答えたら周りが喜ぶか』みたいな考え方をしてたんですが、MAKERSではこのやり方が通用しないんですよね。
11期メンバーを例に挙げると、牧場で羊を育てている人や、国と訴訟してる人がいるんですよ。一方で、『数億円調達したよ!』『最年少上場を目指してます!』と息巻いてる起業家もいる。ここまで価値観がカオスだと、もはやどう答えても絶対に誰かしらとは意見が合わないなと悟りまして、『こうなったら自分が言いたいことを言おう!』って振っ切れることができました。

※2月の事前カリキュラムとは
※なぜMAKERSは忙しい皆さんを「拘束」してまで密度の濃い合宿にこだわるのか?

Q.
MAKERSに入ったからこそ得られたことや、MAKERSがあってよかったなと感じていることを教えてください。

11期の同期だけでも、『MAKERSがなければ一生出会わなかっただろうな』と確信できる人が10人以上います。これまで生きてきて出会ったどのタイプにも当てはまらない、まさに未知の集団。彼らと話していると、自分の将来に良い意味での予測不可能性がどんどん掛け合わされていき、今後の人生ゲームが面白くなる感覚があります。

また、MAKERSメンバーって、目指す方向が見事に全員バラバラなんですよね。だからここでは、周りのみんなが納得する無難な正解を探すことに意味がありません。『周りに合わせなきゃ』という同調圧力がまったくないからこそ、自分が人生を賭けて本当にやりたいことだけに集中して突き進めるんです。

Q.
学生向けの起業支援プログラムやビジネススクールが沢山ある中で、MAKERS UNIVERSITYがそれらと違うのはどこだと感じますか?

事業内容よりむしろ、自分(人間)を見られる点でしょうか。

通常のアクセラなら顧客や売上、資本計画の話を沢山聞かれるんですが、MAKERSのイベントではそういう肩書き抜きの話が多い印象を受けます。初対面の相手から『なんであなたはその事業をやり続けようと思ったの?』『今の事業と関係なしに、何を大事にしてこれまで生きてきたの?』と質問が飛んできますし、『自分を大きく見せちゃダメだ!鎧を脱げ!』と迫られたりもしました。
今振り返ればこそ、見栄を張らず等身大の自分をさらけ出し合える貴重な機会だったと感じますが、当時は『やばいところに来てしまったかも…』と思っていました(笑)。

Q.
あなたとってMAKERS UNIVERSITYを一言で表すと何ですか?

狂気を磨き合う場ですね。まだ誰もしたことない挑戦をするとき、その未踏性が高いほど、多くの人から冷めた目で見られるものです。周りからは『実現性低いよ』『やる意味あるの?』『目を覚ませ!』と諭され続けながらも、自分自身の心の中にある狂気を保たないといけません。大多数から『頭がおかしい』『尖りすぎ』と思われるような選択肢でも、自分自身だけは最後まで信じ抜かねばなりません。

MAKERSの環境は、質の高い狂気で溢れています。スタートアップ経営者だけでなく、研究者・NPO・アーティストなどカオスなメンバーに囲まれながら、多種多様な狂気に触れられます。己の狂気を分析し、その系統に合った修行をすることで、更なる狂気の使い手に進化していく。どこよりも狂気の価値を信じているコミュニティだと思います。

Q.
あなたの人生や事業を通じて「こんな世の中・こんな未来を実現したい!」というビジョンを教えてください。

今はMINORICAという会社で、農産物を高付加価値化(生育加速・巨大化・高糖度化)する植物強化技術を作っています。独自の植物強化剤「プラントコール」によって光合成反応の効率を上げることで、高温・日照不足の圃場においても安定した農業生産を実現しております。中部地方をメインに100件以上の生産現場にて、米・フルーツ・野菜20品種以上での導入実績があります。今後はさらに技術力を磨き、導入エリアを本州→沖縄→東南アジア→…とどんどん広げて、将来世代へ盤石な農業生産インフラを継承していきたいと思っています。

そしてゆくゆくは農業をはじめとするあらゆる分野で、これからの若者たちが新しいテクノロジーにワクワクし、夢中になってチャレンジできる環境を作っていきたいです。

(*このインタビュー記事は、2026年9月時点のものです)

関連URL

株式会社MINORICAウェブサイト

メディア掲載歴

高温でも米やフルーツが育つ 世界初の植物強化技術が変える農業
気候変動に負けない「強いコメ作り」の実証を福島で開始

PROFILE

2000年福井生まれ福井育ち。2023年に東京大学物理工学科を首席卒業後、実家の農地を継ぐことになり、農業の収益性を高めるための独自ソリューション開発を開始。東京大学大学院在学中に、多様な農作物の収量・品質を高められる「植物強化技術」に着目し、株式会社MINORICAを設立。2026年より、沖縄科学技術大学院大学(OIST)に拠点を移し、グローバル規模での技術普及に向けて活動中。

戻る