MAKERS UNIVERSITY

STUDENT INTERVIEW
塾生インタビュー

MAKERSは「起業家のインフラ」です。23歳の経営者が自力で辿り着くには何年もかかる出会いと環境を、一気に手繰り寄せてくれました。

中山太洋さん

AIVALIX株式会社 代表取締役社長 兼 CEO

MAKERS UNIVERSITY 11期生

Q.
MAKERS UNIVERSITYに応募する前はどんな想いで、どのようなことに取り組んでいましたか?

応募したのは創業2年目の秋でした。1年目はAI受託開発で技術の腕を磨きながら、自社プロダクトの種を探す日々。転機は、経済産業省のJ-StarXに採択されてUCバークレーへ留学したことです。カリフォルニアのインフラ事業者を訪ね歩くうちに、老朽化・人材不足・技能伝承の断絶は世界共通の課題であり、日本こそ最初にこの課題へ直面する国だと確信しました。帰国後、事業をインフラ領域に集中。日本の水道管は16万km以上が法定耐用年数を超えているのに、年に更新できるのはその3%。「どこから直すか」という意思決定そのものが、経験と勘に依存したまま限界を迎えている——この一点に賭け、長野県小諸市の水道事業との共同実証に没頭していました。ただ、正解のない道を進む経営判断は孤独です。自分の仮説を本気で問い直してくれる環境への渇きが、応募の背景にありました。

Q.
現在はどんな事業やプロジェクトに取り組んでますか?その事業やプロジェクトに挑む背景や想いも含めて教えて下さい。

インフラ維持管理の「意思決定」を支えるAIを開発しています。よく予知保全の会社と誤解されるのですが、僕らの問いは保全方式ではありません。事後保全のほうが合理的な設備もある。本当の問題は、どの設備に・どの保全方式を・いくら投じるかという判断が、データではなく属人的な経験に委ねられていることです。主力の「INFRAI」は、配管1本ごとの劣化診断から更新計画、経営シナリオ比較までを一気通貫で支援するAI。
長野県小諸市との国内初の実証では、経営戦略策定の総工数を約61%削減しました。もう一つの「RECAI」は、熟練技術者の保全知識をナレッジグラフ化し、技能伝承を支えます。人口も税収も縮む日本で「何を残し、何を手放すか」を社会が納得して決められる基盤——延命ではなく、賢く縮むための技術だと考えています。

Q.
MAKERS UNIVERSITYにはどんな想いや期待感で応募しましたか?

MAKERSが掲げる「自らの生き様で次の世代に希望を渡す」という思想への共鳴が核でした。10期に多くの友人がいて、彼らと話すたびに「なぜそれをやるのか」という原点へ引き戻される感覚がありました。事業を進めていると、日々の意思決定に追われ、挑戦の理由そのものを見失いがちになります。だから僕がMAKERSに求めたのは、答えを出す競争ではなく、問いを深める時間でした。入学時の自己紹介プレゼンでは「逃げずに問いを持ち続けられる人間になりたい。強がらずに、迷っていることを迷っていると言えて、それでも前に進める人に」と宣言しています。加えて、修羅場をくぐり抜けてきた先輩起業家に自分の仮説を本気で検証してもらえる環境は、23歳の経営者が自力で手に入れるには何年もかかる。その両方がここにはあると直感していました。

Q.
実際にMAKERSに参加してみて、自身にとってどんな変容や進化がありましたか?

入学時に宣言した「強がらずに、迷っていることを迷っていると言う」を、実際にやり切れるようになったことが最大の変容です。以前の僕は、実績や構想を綺麗に語ることに意識が寄っていました。でも一流の経営者から最大の学びを引き出すのは、磨き上げたピッチではなく、いままさに揺れている問いを恥ずかしいまま差し出すことでした。弱さの開示は甘えではなく、技術である——そう理解が変わった。事業も、問いの次元が一段上がりました。「老朽インフラをどう維持するか」ではなく、「人口も税収も縮む日本で、何を残し何を手放すかを、社会がどう納得して決めるか」。仮説を先輩たちにぶつけ、壊され、磨かれる往復がなければ、この再定義には辿り着けなかったと思います。半年前より、確実に「問いから逃げない人間」に近づいた実感があります。

Q.
成田ゼミが自分自身や事業に与えた影響、メンターである成田さんとのやりとりで印象に残っていること、また、月1ゼミでの学びや気づきを教えて下さい。

成田ゼミを第一志望にした理由は、成田さんが語られていた「産業構造が変化する局面で、どのポジションを取るかを見極める」という視点でした。インフラ市場には重工メーカーも大手SIerもひしめいています。でも、大企業がいるということは、確かな需要と巨大な産業がそこに在ることの証明でもある。問うべきは「どの市場か」ではなく、「その市場の中の、どの一点で勝つか」。この半年、僕が繰り返し立ち返ったのは、成田さんの「ユニークさは必要だが、成功するビジネスはシンプルである」という言葉です。規制も既存システムも重いインフラ領域では、プロダクトは放っておくと複雑になる。だからこそ僕らは、診断でも施工でもなく「意思決定」という一点に事業を研ぎ澄ませました。月1のゼミは、走り続ける経営を止めて、この問いに戻るための定点でした。

Q.
MAKERS UNIVERSITYに入学してから、一番印象に残っている出来事は何ですか?

孫泰蔵さんとの1on1です。孫さんは水処理ベンチャー・WOTAの社外取締役を務め、僕の主戦場である「水」を経営の至近距離で見てこられた方。だから僕は綺麗なピッチを一切持ち込まず、社内でもまだ揺れていた仮説をそのまま差し出しました。「INFRAIを延命の道具ではなく、賢く縮むための基盤へ再定義すべきではないか」と。分散型で中央集権インフラの一部を手放す未来に賭けたWOTAを補助線に、日本の水の世界にこの物語を受け入れる準備はあるのか。優れた物語で終わる会社と、社会実装までやり切る会社を分けるものは何か。返ってきたのは一般論ではなく、同じ海で闘ってきた人の、手触りのある言葉でした。事業の解像度以上に、経営者としての覚悟の解像度が上がった時間でした。仮説は、晒した分だけ強くなる——あの日の確信です。

Q.
MAKERSに入ったからこそ得られたことや、MAKERSがあってよかったなと感じていることを教えてください。

三つあります。一つ目は、本来なら会えない経営者への「距離」。MAKERSのゼミメンターや寄付応援団との1on1は、23歳が自力で辿り着くには何年もかかる出会いを、一気に手繰り寄せてくれました。二つ目は、事務局の本気です。ETIC.の皆さんは、一人ひとりの挑戦を本当に自分ごととして背負ってくれる。プログラムの参加者としてではなく、一人の人間として向き合ってもらえている感覚が常にありました。三つ目は、強制的な内省の機会。走り続ける起業家には、立ち止まって半年を言語化する時間が構造的に存在しません。ゼミ、合宿、そしてこの記事のような機会が、それを与えてくれた。実はこの原稿を書きながら、自分がこの半年でどれだけ遠くまで来たかに、初めて気づきました。どれも、MAKERSの外では手に入らなかったものです。

Q.
あなたとってMAKERS UNIVERSITYを一言で表すと何ですか?

「起業家のインフラ」です。インフラとは、普段は意識されないのに確かにそこに在り、挑戦する人の足元を静かに支え続けるもの。MAKERSはまさにそれでした。毎日使うわけではない。けれど、仮説が揺らいだとき、覚悟を問い直したいとき、立ち止まって考えたいとき、そこに必ず在ってくれる。水道の蛇口をひねれば水が出るように、扉を叩けば本気の大人がいる。インフラを生業にする僕が言うのだから、確かです。そして、インフラの価値は使い込む人にこそ最大化されます。蛇口の前で眺めているだけでは、渇きは癒えません。12期の扉を叩く皆さんには、ぜひ遠慮なく、この基盤を使い倒してほしい。渇きの分だけ、ここは必ず応えてくれます。

Q.
あなたの人生や事業を通じて「こんな世の中・こんな未来を実現したい!」というビジョンを教えてください。

僕がつくりたいのは、絶対に壊れない社会ではありません。壊れることは、絶対にある。だからこそ、壊れても、ちゃんと立ち上がれる社会をつくりたい。ミッション「Resilient Infrastructure. Powered by AI.」の意味はそこにあります。人口も税収も縮む日本で問われるのは、何を残し何を手放すかを、勘や空気ではなく、データと合意で決められるかどうか。そしてもう一つが「暗黙知の民主化」です。現場の人々が積み重ねた経験と判断を社会の共有資産に変え、AIが現場を支え、現場がAIを育てる。社会そのものが学習し続ける状態をつくること。最後に少しだけ。僕の名前「太洋」の由来は太平洋。「世界一大きな海のように、世界一デカい男になれ」という両親の願いです。ならば、挑む課題も世界一デカくていい。日本の足元から、世界のインフラの「次の当たり前」を創ります。

(*このインタビュー記事は、2026年9月時点のものです)

関連URL

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AIVALIX株式会社 公式X
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メディア掲載歴

【大学生活を活かす!キャリア不安を解消するプロティアンキャリアの処方箋】〜 “なんとなく不安”から抜け出す。構造的思考とメタ認知でつくる自分だけのキャリア〜
AIVALIXと水みらい小諸が、日本初の水道インフラ事業経営におけるAI高度化を実現
パスコとAIVALIX、次世代インフラマネジメントの実現に向け基本合意
シード起業家のピッチコンテスト決勝戦。大賞は配管故障予測AIを開発するAIVALIX(後編)
老朽インフラの予知保全をAIで実現するAIVALIX、「Next GenAI Summit powered by DeNA」にて最優秀賞を受賞
AIVALIXと東京ガスが資本業務提携~インフラ設備の予防保全・維持管理の高度化を推進~

PROFILE

15歳で国立研究開発法人科学技術振興機構のGSC事業に採択され、慶應義塾大学医学部および早稲田大学先端生命医科学センターにて神経科学・知能研究に従事。また、SDGsに取り組む学生団体「50cm.」の代表として、東京大学大学院工学系研究科社会基盤学専攻主催の全国高校生社会イノベーション選手権にて審査員特別賞を受賞。17歳でネットプロテクションズ(現・東証プライム上場:7383)にて事業開発PMインターンを経験し、同期内最高評価で修了。同年、オンライン家庭教師事業を創業。19歳で実践特化型AIサークル「SpecTech」を創設し、多数のAIエンジニアを輩出。20歳でAIVALIX株式会社を創業し、代表取締役社長に就任。米国カリフォルニア大学バークレー校留学中に、基幹産業領域における老朽化、人材不足、技能伝承といったグローバル共通課題に着目。現在CEOとして、上下水道、ガス、プラント、電力などの社会インフラ領域におけるAI高度化に取り組んでいる。

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