STUDENT INTERVIEW
塾生インタビュー
「できること・やれることをやる」という私から「やりたいこと・やるべきことをやる」私に変わりました。
丸山 亜由美さん
武蔵野美術大学 基礎デザイン学科 2018年03月卒業/warm regards 株式会社 (登記準備中)
MAKERS UNIVERSITY 3期生
- Q.
- MAKERS UNIVERSITYに応募する前はどんなことをやっていて、今、どんな事業やプロジェクトに取り組んでいますか?
MAKERS UNIVERSITYに応募する3ヶ月前に留学先のドイツから日本に帰国し、武蔵野美術大学に通いながらグラフィックデザイナーとして書籍の表紙を装丁したり、ウェブのバナーや展示会のポスターを作る仕事をしていました。
卒業して半年ほど経った今はMAKERSと100BANCH (Panasonicが主催するインキュベーションラボ) のふたつの起業家コミュニティに所属し、糖尿病の予防と治療の領域におけるデザイン事業に取り組んでいます。
具体的には、妊娠糖尿病に特化した血糖値測定キットの開発や、アートやデザインを通じた糖尿病の啓蒙活動を行なっており、2018年12月に法人を登記する予定です。
渋谷STREAMで血糖値測定イベント
- Q.
- MAKERS UNIVERSITYにはどんな想いや期待感で応募しましたか?
ドイツでは社会人になってから大学に戻ってキャリアアップ・チェンジを行う人も珍しくなく、そんな人々との出会いをきっかけに、自分自身のキャリアにも次第に自信が持てるようになりました。
武蔵野美術大学卒業後は「医療とデザインの融合から新しい価値を生み出せる人になりたい」「自分にしかできない、私がやるべき事業がしたい」という強い想いがあってMAKERSに応募しました。
とはいえ正直なところ、何をどうやって事業にしてゆくかについては全く先が見えていなかったので、起業というフルマラソンを一緒に伴走してくれるようなメンターさんやプログラムに期待を寄せて応募しました。
Makers3期の仲間と
- Q.
- 実際にMAKERSに参加してみて、自身にとってどんな変化や進化がありましたか?
「できること・やれることをやる」という私から「やりたいこと・やるべきことをやる」私に変わりました。MAKERSのプログラムや所属している古俣ゼミを通じて事業の方向性が決まり、100BANCHやTokyo Startup Gateray (ETIC.が企画・運営する東京都主催のビジネスコンテスト) などMAKERS以外でも事業やプロジェクトを発表する機会が徐々に増えてゆきました。
自分の想い形にして発信することで、フィードバックや共感してくれる人が集まってゆき、一緒にプロジェクトを進める仲間をチームとして迎えられたのはとても大きな喜びでした。
同時に事業に対する責任を強く感じるようになり、事業一本に集中する覚悟を決めて、今まで生計を立てていた他の仕事をクローズしました。
これは私にとってとても大きな決断であり、変化でした。
展示風景
- Q.
- MAKERSUNIVERSITYに入学してから、一番印象に残っている出来事は何ですか?
所属ゼミのメンターである古俣さんから「丸山さんは圧倒的にスピード感が足りない」と7月の面談で言ってもらえたことです。
私は場の雰囲気に慣れたり、スタートを切るのにとても時間がかかり、器用に何かを進めることが苦手です。でも一度始めてしまえば、コツコツと根気強くストイックにできるタイプなので、古俣さんはそれを見越してスタートのピストルを鳴らしてくれたのかもしれません。
失敗するのを怖がっていた私に対して、「筋道が慎重でステップが多くなってしまっている。共感を得られれば、極端にいえば実際に作らなくても見せられるし買ってもらえる。とにかく形にしてゆくこと。」と励ましてもらえたことが、その後のチャレンジの加速に繋がりました。
- Q.
- メンターである古俣さんが自身や事業に与えた影響、古俣さんとのやりとりで印象に残っていること、また、月1ゼミでの学びなどゼミについて
古俣ゼミには「ビジネスモデル100本ノック」という登竜門があります。これは「自分が心から好きな分野で、自分にしかできない事業」を決めるための修行で、具体的な事業の内容を決められていない私のような人にはぴったりでした。
まず、思いついた事業を100個リストアップしましたが、どうも私がそれらをやるべき理由が見えてきません。次に、自分の日常生活で困っていた課題を100個書き上げ、それを解決するモデルを挙げていったのですが、私自身の強みが生かしきれていません。
よって最終的には、その課題に対してデザインで解決するアイデアを100通り出しました。結果、「徹底的にデザインにこだわった妊婦さんに特化した血糖値キットを開発する」というビジネスプランを生み出すことができました。
ビジネスプランピッチ風景
- Q.
- 学生向けの起業支援プログラムやビジネススクールが沢山ある中で、MAKERS UNIVERSITYがそれらと違うのはどこだと感じますか?
MAKERSが最も他のアクセラレータープログラムと違うことは、他の人の事業を一緒に考える時間が長いことだと思います。
合宿やゼミの時、自分の事業のことを考えている時間よりも遥かに他の人の事業を考えている時間の方が長かった印象があります。事業内容やステージがバラバラであるが故に、他のMAKERS生から学ぶことはとてもたくさんありました。
私は医療とデザインが専門なので、合宿の際に「初心者のためのDNA・ゲノム講座」と「経営者のためのデザイン講座」を開講させてもらい、色々な人にゲノムとデザインを知ってもらうことができて嬉しかったし、自分自身の学びの振り返りとして貴重な機会になりました。
- Q.
- あなたとってMAKERS UNIVERSITYを一言で表すと何ですか?どんな存在ですか?
英語にYou made my dayというフレーズがあります。これは「あなたが私の1日を作ってくれた」すなわち「あなたのおかげで素晴らしい1日だった」という意味です。まさにMAKERSはこのような存在で、MADE MY YEARといっても過言ではありません。
素晴らしい1年を作ってくれたことに心から感謝しています。おそらくMAKERSのプログラムや古俣ゼミが無ければ、今の私の事業は存在していなかったと思います。
MAKERSのお陰で今の自分がやっていることに対して自信を持つことができましたし、何より好きなことを全力でやってそれを応援してくれる人がいるというのはどんな喜びにも代え難いものがあります。
古俣ゼミ集合
- Q.
- あなたの人生や事業を通じて「こんな世の中・こんな未来を実現したい!」というビジョンを教えてください。
私は20才の時に糖尿病になって、今年で10年目を迎えます。今までの10年は自分自身の健康維持が精一杯でしたが、これからの10年では世界中の人の予防や治療に貢献したく、起業を決意しました。
人生100年時代と言われる一方で、なかなか完治しない慢性的な疾患と一生涯向き合う時間も長くなっています。しかし、誰もが自分で体調を楽に管理できれば、病気は「身体の個性」に過ぎず、健やかな生活が送れます。
糖尿病はまさにこの象徴的な病気であり、いつでも・どこでも・簡単に唾液から測定できて、生活の中で自然に血糖値を意識できる検査キットをアートやデザインと共に日本から世界に展開していきます。
100人の血糖値測定から作ったアート作品
開発中の血糖値キットのモックアップ展示
その後の活躍
・180mg/dl 丸山亜由美:「闘病」から「遊病」へ。デザインで繋ぐ糖尿病の境界線
・アートやデザインでワクワクさせる医療・健康サービスを
関連URL
・http://100banch.com/projects/11175/

PROFILE
丸山 亜由美
武蔵野美術大学 基礎デザイン学科 2018年03月卒業/warm regards 株式会社 (登記準備中)
北里大学 医療検査科を卒業し、外資系製薬企業Roche(ロシュ)の日本法人に入社。営業職に3年間従事しトップセールスを機に退職。武蔵野美術大学 基礎デザイン科に学部1年生から入学し、ニュージーランド政府の奨学生として英語、トビタテ留学ジャパン・ドイツ留学でデザインを学ぶ。2018年3月に卒業、医療デザイン会社のwarm regardsを2018年12月に登記予定。