MAKERS UNIVERSITY

STUDENT INTERVIEW
塾生インタビュー

発酵食という視点から腸内環境を整え、病気をこの世からなくしていきたい。

小泉 泰英さん

宇都宮大学農学部2019年春卒業/株式会社アグクル 代表取締役

MAKERS UNIVERSITY 4期生

Q.
MAKERS UNIVERSITYに応募する前はどんな想いで、どのようなことに取り組んでいましたか?

応募以前は、私は農業に全く興味がない状態で、農学部にたまたま進学しました。しかし農学部生として大学生活を送る中で、自然や植物、微生物という生き物に惹かれていきました。そんな私は興味があることはとりあえずやってみる大学生だったと思います。

大学1・2年生の頃は農村活性化、地域活性化に興味があり、全国を周ったり、自分で一つの地域に住み込んで活動したりしていました。

3年生頃になると、純粋に農業に興味を持ち、特に関心の高かった農薬や肥料を一切使用しない自然栽培に興味を持ち、自分たちでお米を作ることにもチャレンジしました。徐々に自分の関心に近づいている感じはあるものの、「なんか違うな〜」という悶々とした気持ちがとてもありました。

そんな悩みが解決したのは、4年生のときに「発酵」と出会ってからです。はじめは、発酵食品に関心があったのですが、「発酵」というものが持つ哲学に徐々に惹かれていきました。

Q.
現在はどんな事業やプロジェクトに取り組んでますか?

現在はものづくりのベンチャーとして毎日の料理を簡単においしくする発酵調味料「おりぜ」を販売しています。

目指しているのは、二つです。一つは、発酵食の力で、病気にならない体をつくることです。現在、子どもならアレルギーやアトピー、大人では生活習慣病やがんなどの病気が急激に増えています。最近、それらは腸内環境が影響しているということがわかってきました。実はその腸内環境を整えるのに、発酵食は良いとされています。私たちは、この発酵食の力によって、腸内を元気にし、健康な毎日を届けることを目指しています。

もう一つは、発酵文化の伝承です。世界の中でも日本は発酵大国と言われ、私たちは、古くから自然を大切にし、共存していきてきました。発酵食品は、人間と自然が共生することで生まれた食品とも言えます。

そんな発酵食品を健康面だけでなく、文化歴史的、思想哲学的に多くの人たちの生きるヒントとして伝えていきたいと思っています。

お弁当事業をメンバーでした時の写真

Q.
MAKERS UNIVERSITYにはどんな想いや期待感で応募しましたか?

MAKERS UNIVERSITYには、同世代の仲間と切磋琢磨したいという想いで応募しました。私は栃木県で活動をしているため、東京と比べると、同世代の仲間は少ないです。学生時代にあらゆる活動をする中で気づいたことなのですが、仲間がいればいるほど、自分の世界は広がるし、自分が頑張る意味が深く強くなると思いました。

そんな私にとって、MAKERS UNIVERSITYを知ったときは、心からこの世の中をよくしたいと思っている仲間と出会えるのだろうなという期待感があったのを今でも覚えています。もし選ばれれば、自分ももっと成長できるし、私しか持っていないものをみんなとシェアできると思いました。自分の幸せために頑張ることが、他の人にもいい影響を与えられるならという想いで、応募しました。

Q.
実際にMAKERSに参加してみて、自身にとってどんな変化や進化がありましたか?

変化したことは2つあります。

一つ目は、自分を信じられるようになったことです。実は私は周りに流されやすく、世渡り上手という側面は、時に良いこともあるのですが、事業をする上では障害となりました。周りの意見を聞きすぎて、進む方向を見失った時期もありました。そんなときに、MAKESの仲間たちが自分の想いを純粋に語りつづけ、努力する姿は「自分を信じて進むだけ!」という気づきを私に与えてくれました。

二つ目が、人の役に立つことは幸せだと知ることができたことです。MAKERSを通して、誰かの事業の相談に本気で乗ることの大切さを知りました。仲間の事業相談に乗ると相手がスッキリしてくれることも多く、とても嬉しいです。しかしそれ以上に面白ことがあります。それは相手の事業相談に乗ることは、両者にとって最高な時間ということです。一見すると、相手のためにしていることが、自分に新しい気づきを与えたり、あとで自分にも訪れたりするんです。

イベントをした写真(この風景を全国に増やすことが使命でもある)

Q.
尾野ゼミが自分自身や事業に与えた影響、メンターである尾野さんとのやりとりで印象に残っていること、また、月1ゼミでの学びや気づきを教えて下さい。

尾野ゼミは、心のデトックスのような場所だと思います。

月1のゼミで近況報告や事業相談をするのですが、尾野さんはいつも足し算ではなく、引き算のアドバイスを私たちにくれます。「もっとこうしたほうがいいよ」とか「こういう展開も想像できるじゃん」とかではなく、「君のしたいことを実現するために、今障害となっているのは◯◯かな」というような感じで、思考の整理を助けてくれます。正直言えば、尾野さんとの関係性はこれからが始まりな気がしています。私は、尾野さんというメンターは相手がどんなに面白い事業や人間だったとしても、待ちの姿勢で、来るもの拒まず、去る者追わず的な人だと思っています。恋愛で例えるとわかりやすいです。

このMAKESのプログラム期間中は付き合う前のカップルのような期間で、プログラム後も関わって行く人こそが、尾野さんと付き合うことを許され、ここからが関係の始まりな気がしています。

普段の会議の様子

Q.
MAKERSUNIVERSITYに入学してから、一番印象に残っている出来事は何ですか?

一番印象に残っていることは、同期の千葉恵介との出会いです。

私は、発酵食品の事業をしながら、発酵は生きる上でもヒントがあると思っていました。それを「思想的発酵」と言っていたのですが、本当に近いことを考えていた人が同期にいてびっくりしました。千葉くんは自己紹介で自分のことを「起業家ではなく、思想家」「起業家はもう古い。これからは思想家の時代だ」と言っていました。そのときの心の震えは今でも忘れません。

MAKERSに参加することで期待していた仲間との繋がりをいい意味で超えてきた感覚です。自分と領域は違うけれど、同世代で頑張る仲間といいうイメージだったのですが、ここまで目指す世界に共通点がある仲間に出会えたことは一生の財産です。今では、近いミッションの中でアプローチが違うからこそ、協力できると思い、一緒にイベントを開いたり、「発酵思想」というコラムを執筆してもらったりと多くの時間を共有しています。

Q.
MAKERSUNIVERSITYに入ったからこそ得られたことや、MAKERSがあってよかったなと感じていることを教えてください。

MAKESがあってよかったなと感じたことは、「MAKERS生です。」と伝えることで、多くの人に応援してもらえることです。

MAKERSUNIVERSITYは、社会を変革する若きリーダーの卵がいる学校だと社会から認知されています。そのため、知っている方は「おぉ!MAKERSか!」と歓迎して、話を聞いてもらえ、応援してもらえます。逆に知らない方でも、「そんな大学があるのか!」と自分の事業の話を聞いてもらえます。どちらとしてもMAKERSという組織が掲げているコンセプトによって、周りの方から大きなサポートをもらっていると思います。

だからこそ、将来的にMAKERSには、自分たちが活躍することで、MAKERSUNIVERSITYの認知度を拡大するという恩返しをしたいです。そうすることがさらなる次の世代のリーダーが生まれていくエコシステムになると私は信じています。

Q.
学生向けの起業支援プログラムやビジネススクールが沢山ある中で、MAKERS UNIVERSITYがそれらと違うのはどこだと感じますか?

他の学生向けの起業支援プログラムやビジネススクールと比べ、MAKERSは、「前提すらも疑う」という点で大きく性質が異なると思います。他の支援プログラムの多くは、基本的にはこの資本主義社会の中でどう活躍し、利益を出していくかのノウハウを考えたり、教えたりしますが、MAKERSはその前提すらも疑います。

例えば、資金調達の仕方の前提を疑って、新しい資金調達のあり方を模索して、実際にそのやり方で資金調達までします。また資本主義自体を疑うことで、新しい社会の枠組みを作ろうと挑戦する人もいます。

まさに引かれてるレールでどう勝つかではなく、戦わず新しい世界や枠組みをMAKEする人が集まっている場だと思います。

Q.
あなたとってMAKERS UNIVERSITYを一言で表すと何ですか?

私にとってのMAKERSは、おいしい味噌です。

いきなり発酵キャラを出しましたが、私にとっては一番それがしっくりきます。おいしい味噌を作るには、腐敗菌よりも発酵菌たちが優勢な環境を作ることで生まれます。発酵菌は私たちの社会に対して、有益な働きをしてくれる微生物のことを言いますが、まさにMAKERS生は発酵菌です。面白いことに、菌たちは誰もいい味噌を作ろうとはしておらず、ただ自分の役割を果たしています。

MAKERSもそんな菌のような空間で、良くも悪くもみんな自分のことしか考えていません。ただみんなあらゆる切り口から世の中を少しでも良くしたいというミッションを持っている発酵菌の集まりなので、自然とその場(MAKERSという空間)は醸され、いいコミュニティ(味噌)になっていくのです。

イベントにてファンのお客さんとの1枚

Q.
あなたの人生や事業を通じて「こんな世の中・こんな未来を実現したい!」というビジョンを教えてください。

私の人生としてのビジョンは、150年、200年後も役に立つような事業や思想を社会に遺すことです。

その一つとして感じていることは、今の社会の当たり前となっている「Time is Money」に対して「Time is Valu」もありだよねということです。これからの時代の中で、時間が経過していくことは実はものすごい価値を生み出していると思うことができれば、生き方や視野も変わってくるのではないかなと思っています。

もう一つ、事業としてのビジョンは、腸内環境を整えることで、病気をこの世からなくしていきたいです。アトピーや生活習慣病、がんはもちろんのこと、うつ病などの精神的な病も腸内環境が影響しているとわかってきました。だからこそ、あらゆる病気の根源となる腸内に発酵食を届けることで、そもそも病気にならない人たちを世界中で一人でも増やしていけるように挑戦していきます。

(*このインタビュー記事は、2019年9月時点のものです)

関連URL

MAKERS生である千葉くんとのトークセッションのインタビュー記事
アグクルの想い

メディア掲載歴

IDEAS FOR GOOD<アグリカルチャーをなめらかに。発酵食ベンチャー「アグクル」の挑戦>
・下野新聞創刊140周年記念特集号「未来へはばたく若きパイオニア」

PROFILE

小泉 泰英

宇都宮大学農学部農業経済学科2019年3月卒業/(株)アグクル代表取締役

1997年埼玉県蓮田市出身。埼玉県立春日部高校から宇都宮大学を経て、現在は株式会社アグクルの代表を務める。

第五回とちぎアントレプレナーコンテスト最優秀賞、第三回とちぎんビジネスプランコンテスト優秀賞などを受賞。

農学部として農業の分野に関わる中で、消費者と生産者のギャップに気づき、そんなギャップをなめらかにするという目的でアグクルを2018年5月(大学4年時)に創業する。現在は農をなめらかにするために、発酵食という視点から事業を展開。小さな子どもからお年寄りまで使うことができる発酵万能調味料「おりぜ」を中心にものづくりベンチャーとして挑戦中。

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