STUDENT INTERVIEW
塾生インタビュー
MAKERSは、前提を疑うことを肯定してくれます。経済システム自体を変革することを支援するプログラムはMAKERS以外にはないと思います。
千葉 恵介さん
明治大学経営学部4年 / 思想家
MAKERS UNIVERSITY 4期生
- Q.
- MAKERS UNIVERSITYに応募する前はどんな想いで、どのようなことに取り組んでいましたか?
高校3年生の時に合同会社を設立し、iPhoneアプリ開発の会社を一年あまり経営していましたが、様々な問題を抱えたこともあり親会社に会社を譲渡しました。その当時から、社会課題への関心は高く、社会貢献を理念に掲げていました。
デジタルノマドとして生きていきたいと大学3年次に休学し、世界中を旅し、様々な人たちと対話を重ね、自主的に経済学や哲学、宗教、量子力学などを学ぶ中で、短期的で目に見える価値しか評価できない現代の貨幣市場経済の限界を感じ解決策を考えていく中で、感謝経済を提唱するようになりました。
感謝経済を実践するにあたり、”musubi”という感謝を贈り合うことで恩贈りをしあうSNSやArcheというモバイル秘密基地をつくり、50人規模のメンバーと共に感謝経済圏を醸していました。
- Q.
- 現在はどんな事業やプロジェクトに取り組んでますか?その事業やプロジェクトに挑む背景や想いも含めて教えて下さい。
現在は、感謝経済に共感する人たちのコミュニティづくりを生活協同組合の「共同出資・共同運営・共同利用」の3つの軸を参考に、感謝経済に集うメンバーと共同でプロジェクトの企画や運営を行っています。
あるメンバーの主婦の方の話を聞いていたところ、自家焙煎コーヒーを趣味でやっているということを知り、ゆくゆくは移動販売をしていきたいと夢を語ってくれました。
イラストレーターのメンバーの方にお願いしてロゴを作ってもらい、その後Arche Roast Coffeeというコーヒーブランドを共同で立ち上げました。
その他にも、栃木県の藤岡町という場所で田んぼをやっている農家さんがメンバーになっていたので、感謝経済の田んぼとしてお米づくりを行なっています。
- Q.
- MAKERS UNIVERSITYにはどんな想いや期待感で応募しましたか?
MAKERSに応募した当初は、効率化を重視したスマートペイによって生産者と消費者が今まで以上に距離が離れ、感謝の気持ちすら湧かなくなる時代が来るのではないかという危惧から、ハグすることで決済処理を行うHug Payというカウンターカルチャーな事業を感謝経済とは別にスタートアップとして立ち上げようとしていたので、豪華なメンター人からの座学を学ぶために応募しました。
また、”革命児”という言葉からも滲み出るMAKERS UNIVERSITYに集まる変態的な人たちとの出会いにも期待していたため応募しました。
- Q.
- 実際にMAKERSに参加してみて、自身にとってどんな変容や進化がありましたか?
MAKERSの最初の合宿で変態的な仲間たちと時間を過ごすうちに、起業家ではなく思想家として生きていこうと決めました。このことが、MAKERSに参加して一番の変化でした。
Hug Payは、MAKERSに入ってすぐに休止して、一番熱量を持って取り組んでいる感謝経済に振り切りましたが、お金といかに付き合い感謝経済に取り込んでいくのかという現実と理想の狭間のバランス感覚をMAKERSで養った感覚があります。
僕は、MAKERSに入ってからいろいろなメンター陣に感謝経済をプレゼンし、批評やアドバイスをもらいながらも、根幹部分が一度も揺らがなかったということが自分の自信につながったと同時に、生涯かけて取り組む志であるということを覚りました。
- Q.
- MAKERSUNIVERSITYに入学してから、一番印象に残っている出来事は何ですか?
MAKERSの2月の事前カリキュラムの合宿で4人ぐらいで朝の5時まで議論した時のことが一番印象深かったです。
話をしていたメンバーの研究テーマが発酵×経済×数学×テクノロジーでした。東洋思想と宇宙というテーマで、各メンバーの独特な切り口からの議論によって醸されクロスオーバーしていく話の展開に知的好奇心がくすぐられ、気がついたら5時だったことを覚えています。
同世代でこんな議論をしたことが今までなかったので、ワクワクしながら哲学してたのを鮮明に覚えています。
- Q.
- MAKERSに入ったからこそ得られたことや、MAKERSがあってよかったなと感じていることを教えてください。
MAKERSは、前提を疑うことを肯定してくれます。僕のように市場経済そのものを疑い、主観的な価値を客観的な貨幣に置き換えて評価する拝金主義の世の中に一石を投じる人間を面白がってくれる文化があります。その文化に救われた感覚があります。
また、それぞれの分野で活躍している雲の上の存在に感じるMAKERS生も、MAKERSのプログラムを通してお互いに悩みを相談しあうことができる友達になれました。
お互いに信頼しているからこそ、率直な意見を言い合ったり、真剣に悩みを相談することができる仲間ができたことにMAKERSに入ってよかったと思いました。
- Q.
- 学生向けの起業支援プログラムやビジネススクールが沢山ある中で、MAKERS UNIVERSITYがそれらと違うのはどこだと感じますか?
MAKERSは、他のプログラムと根本的に違います。なぜなら、前提を疑うということが許されているからです。一般的な起業支援プログラムでは、1+1=2という前提を共有している中で、プログラムが行われ前提を疑うことができません。その一方MAKERSでは、1+1は0でも1でも2でも許されています。つまり、貨幣を用いた市場経済という資本主義経済システムを前提としない事業を肯定し支援してくれるプログラムがMAKERSだと僕は感じました。
常識に囚われないパラダイムシフトを起こすビジネスを支援するプログラムはMAKERS以外でもあると思います。しかし、起業自体を疑い経済システム自体を変革することを支援するプログラムはMAKERS以外にはないと思います。
- Q.
- あなたとってMAKERS UNIVERSITYを一言で表すと何ですか?
MAKERSを一言で表すと「ぬか床」です。
MAKERS UNIVERSITYというぬか床に、MAKERS生という野菜を漬けて、合宿やゼミなどを通して自分たちを寝かせ発酵させることでそれぞれの旨味が引き出され、味わい深くなります。
僕らMAKERS生も個性が強かった最初の時期から、MAKERSのプログラムを通して苦難にぶつかったりフェーズが進んだりしながら寝かされ、角か取れて等身大の自分たちで接することができ友情が芽生えたり自己変容したりしています。
まさにMAKERSは、ぬか床的存在です。
- Q.
- あなたの人生や事業を通じて「こんな世の中・こんな未来を実現したい!」というビジョンを教えてください。
自分らしく生きることで人から喜ばれ、生かし生かされあう発酵的暮らしが営まれている世界を300年かけて実現させたいです。
2500年前に孔子が説いた「誠」や「徳」、老子が説いた「道」、ブッダが説いた「空」など、2000年かかってもなお彼らが説いた世界は実現していません。
もしかしたら、発酵的暮らしが実現するにも2000年かかるかもしれませんが、3世代後の孫たちが物質的にも精神的にも満たされる社会に生きていけるように、この生涯をかけて感謝経済のタネを藝え育てていきます。
今この瞬間生かされていること、この時代に生まれたこと、日本という特殊な文化圏に生まれたこと、このような思想を持っていること全てに感謝して、自分の天命を全うして次世代に託すことが僕のビジョンです。
(*このインタビュー記事は、2019年9月時点のものです)
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メディア掲載歴
・ソトコト[地域のお金の回し方]
・Share!Share!Share!:真の創始者が語る 感謝経済の“本質”<前編>
・Share!Share!Share!:真の創始者が語る 感謝経済の“本質”<後編>
・IDEAS FOR GOOD:感謝経済の先にある「醸す」経済とは?
・鎌倉FM:鎌倉ラヂオレター
PROFILE
千葉 恵介 明治大学経営学部4年 / 思想家
1996年生まれ。岐阜県出身。思想家。
人々のライフスタイル(Do)を変える起業家ではなく、人々のあり方(Be)を変える思想家として活動をしている。
感謝経済という見返りを求めない贈与の循環を滑らかにする潤滑油として「ありがとう」を用いた経済を提唱し、微生物による発酵にヒントをえながら思想を醸している。
300年後の次世代が発酵的暮らしができる時代を見立て、感謝経済というタネをこの生涯かけて藝えるために感謝経済を体現している。