MAKERS UNIVERSITY

STUDENT INTERVIEW
塾生インタビュー

ピカブルを通じて、遠隔のコミュニケーションをアップデートし、新しい文化を創っていきたい。

小島 貴之さん

慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科1年(中退) / 株式会社ピカブル 代表取締役CEO

MAKERS UNIVERSITY 4期生

Q.
MAKERS UNIVERSITYに応募する前はどんな想いで、どのようなことに取り組んでいましたか?

日本舞踊を代々やっている家に生まれたからか、文化的なもの、感覚的なものが好きで、デジタルアートを作っていました。日本舞踊って来ているお客さんを見ると、おじいちゃんおばあちゃんばかりで、このまま数年経つと古典芸能はやばいなと思いました。古典芸能って相応のリテラシーがないと理解できないんですよね。リテラシーがない人が見ると、「なに、変な格好して唸ってるのこいつ」みたいに見えてしまう(笑)。古典芸能は伝えたい物語があって、それを動きなどで表現しているのですが、もう今の若い人には理解できない。だから、若いカップルや外国人が見ても、なんか和風っぽくてかっこいいって思ってもらえるような形に変化する選択肢もありかなと考えて、デジタルアートを創っていました。デジタルで視覚的にストーリーを補完することで、リテラシーがなくても理解できるようになり、1つのアートとして受け入れられやすくなると思っています。

Q.
現在はどんな事業やプロジェクトに取り組んでますか?その事業やプロジェクトに挑む背景や想いも含めて教えて下さい。

通話×画面共有アプリ『ピカブル』を作っています。昔から人間は離れた人とコミュニケーションを取りたくて、手紙、電話、メール、チャットと発明を重ねてきました。効率性という観点から考えると、チャットは歴史上最強のツールだと思います。一方で、まだ携帯電話が普及する前から、人間は親しい友達や恋人と他愛もない長話を楽しんでいたと思います。ガラケー時代もウィルコムなどで親友や恋人と目的なく長電話していました。これは、効率性では計れない文脈で、この文脈においては電話の発明から150年経った今でも、せいぜい顔を見ながら話せるくらいしか進歩していません。高性能のスマートフォンが普及し、いよいよ5Gも目前に迫った今こそ、離れていても、同じコンテンツを一緒に楽しんで、一緒に笑ったり、一緒にワクワクしたり、一緒に感動する世界を作れるのではないか、そう考えるようになり、ピカブルの開発をしました。

Q.
MAKERS UNIVERSITYにはどんな想いや期待感で応募しましたか?

一言でいうなら、仲間が欲しかったからです。何か新しいことに挑戦しようとすると仲間が必要になります。何か新しいことをやろうとすると、孤独を感じることもあります。そんな時、同じく新しいことをやろうとしている仲間の存在は大きな支えになります。MAKERSはやりたいことも、やってることもバラバラな集団なので、当たり前のようにそれぞれがバラバラの物差しを持っています。みんな違って、みんないい、それがMAKERSです。僕はそんな世界の方が楽しいと思っています。あと、MAKERSにはマウンティングゴリラいないというのもいいなと思っているところです。

Q.
実際にMAKERSに参加してみて、自身にとってどんな変容や進化がありましたか?

めちゃくちゃ刺激をもらいました。スラム街に住んで、教会を建築してる男とかいるんですが、一見、わけわからないじゃないですか(笑) ぶっ飛んでるなーと。そういう人たちを見ていると、自分、まだまだいけるなって思うんですよ。人間は生きているだけで知らず知らずのうちに常識に足を縛られてしまいます。だから、MAKERSでぶっ飛んでるやつを見て、足枷をリセットしています。定期的に常識をリセットできる場があることは大切なことだと思っています。

Q.
小笠原ゼミが自分自身や事業に与えた影響、メンターである小笠原さんとのやりとりで印象に残っていること、また、月1ゼミでの学びや気づきを教えて下さい。

小笠原さんを初めて知ったのは、『メイカーズ進化論』という小笠原さんの書かれた本を読んだ時です。その中に出てくる言葉がとても印象に残っています。今のイラストを乗せ替えただけのソーシャルゲームや、自分自慢に満ちたSNSや、乱立するキュレーションメディアなど、最近のインターネット業界ってワクワクする事業減ったよねというようなことを本の中でおっしゃっていて、その言葉を読んだ時に、自分も同じ不満を抱いていたことに気づいて、新しい文化を作るようなことにチャレンジしたいなと思いました。実際に小笠原さんにお会いすると、極めて高いバランス感をお持ちの方で、相談事に対して常にフラットにアドバイスをくれました。走っている自分たちには見えなくなっている点を的確に指摘してくれるため、今自分たちは何に集中すべきかを見直す良い機会となりました。

Q.
MAKERSUNIVERSITYに入学してから、一番印象に残っている出来事は何ですか?

現在、株式会社ピカブルにて取締役COOを務める稲田修也との出会いです。稲田も僕と同じMAKERS4期生としてMAKERSに入塾していました。今でも鮮明に覚えているのが、2月の事前カリキュラムの合宿初日の深夜、明け方まで、2人で語り明かしたことです。ピカブルのこと、今のスタートアップシーンのこと、価値観や人生観など、本当にたくさんのことを話しました。その中で、稲田の見ている方向性や価値観がめちゃくちゃ好きだなと感じました。彼はリスクを取れる男ですし、話も面白い。地頭も良いし、技術もある。稲田はもともと別の事業を立ち上げようとしてMAKERSに入っていたのですが、どうしても仲間になって欲しくて、猛烈に勧誘しました。4ヶ月くらい口説いたかな(笑) 稲田が仲間になってくれた時は本当に嬉しくて、それが一番印象に残っている出来事です。

Q.
MAKERSに入ったからこそ得られたことや、MAKERSがあってよかったなと感じていることを教えてください。

これはもう本当に沢山あるので、明確にこれっていうのが難しいですね(笑) でも、絶対にこれだけは言えるのはピカブルが走り続けていられるのは、MAKERSのおかげです。仲間ができたし、数多くのチャンスをもらいました。あと、MAKERSメンバーの人間性が全員本当に素敵です。みんないい人。どうやって選んでいるのか不思議なくらいです笑。

Q.
学生向けの起業支援プログラムやビジネススクールが沢山ある中で、MAKERS UNIVERSITYがそれらと違うのはどこだと感じますか?

放置してくれることです。一般的なアクセラレータープログラムだと、フレームワークに沿って色々詰められると思うんですけど、根本的にそのフレームワークに向いてない事業もあると思っています。今流通しているフレームワークからTikTokとかSnapchatを作り出すのって無理だと思うんです。TikTokの爆進を初期に見抜けた投資家ってほぼいなかったんじゃないかなと思います。僕はそういったものが作りたかったので、既存のフレームワークを参考にしつつも自分で再構築して、独自のフレームワークを生み出して使っています。本当は化ける可能性のあったC向けサービスが、既存のフレームワークに合致しないがためにお蔵入りになってしまうのは非常にもったいないことです。歴史から学べることは本当に多いので、既存の知識から学ぶべきところは学べばいいと思っています。ただ、それを丸呑みにするのではなく、重要なところはセオリーではなく自分の頭で考えることが重要だと考えています。そうゆう意味において、MAKERSは良い意味で放置してくれるところが、自分には非常に合っていたなと思います。

Q.
あなたとってMAKERS UNIVERSITYを一言で表すと何ですか?

自分を振り返る場所です。無意識のうちに常識に縛られていないか、他のMAKERSメンバーを見て気づくことは本当に多いです。色々な領域で頑張っている仲間から刺激を受けることができるので、本当に楽しいです。また、多様性の許容も大きな魅力で、プロジェクトを閉じたメンバーや大きくピボットしたメンバーも関係なく一緒にいれる場になっています。一般的なアクセラレーターだと、事業を閉じる=バイバイだと思うのですが、MAKERSは人にフォーカスしているので、事業を閉じようがピボットしようが関係ありません。全ての生き方を肯定してくれます。人生において単一の正解なんて存在しない。全てが正解になりうるということを改めて感じます。

Q.
あなたの人生や事業を通じて「こんな世の中・こんな未来を実現したい!」というビジョンを教えてください。

遠隔のコミュニケーションをアップデートしたいです。離れていても同じ体験を一緒に共有できるようになると、人間の関係性のあり方自体が変わってくるのではないかと考えています。人間の関係性のあり方の変容は、人間の価値観の変容につながります。そこまでくると、このピカブルを用いたコミュニケーションは一つの文化を作ったといっても過言ではないのでしょうか。僕はもともとアートに強い興味を持っているので、ただ儲かるだけの事業家にはあまり興味がありません。スタートアップを通して人間の価値観にオルタナティブを提示することができれば、それは単なる事業を超えてアートになると考えています。ピカブルを文化を作れるレベルのアートに育てたいです。ピカブルがなかった時代が想像つかなくなるような世界を実現したいと思っています。

(*このインタビュー記事は、2019年9月時点のものです)

関連URL

通話×画面共有アプリ『ピカブル(Picable)』 iOS版

メディア掲載歴

『FEATUReS 「人類の価値観を変えるサービスを創る」学生版STARTUP CHALLENGEで藤田ファンドからの投資が決定するまでの話』
『遠距離の彼女と一緒に映画を見たかった。通話×画面共有アプリ「ピカブル」誕生秘話』

その後の活躍

「人類の価値観を変えるサービスを創る」学生版STARTUP CHALLENGEで藤田ファンドからの投資が決定するまでの話
【スタートアップTV】「ピカブル」CEOに聞くスタートアップで大切にしている7つのルール

PROFILE

小島 貴之 慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科1年(中退) / 株式会社ピカブル 代表取締役CEO
慶應大学大学院で経営学の研究をする傍ら、SBイノベンチャー株式会社(ソフトバンクグループ)から支援を受け、通話×画面共有アプリ「ピカブル(Picable)」を立ち上げ。
Webブラウザや動画サービスをリアルタイム同期する技術を開発。
2019年8月 ソフトバンクから事業を買い取り、株式会社ピカブル設立。代表取締役就任。
藤田ファンド他エンジェル投資家数名から資金調達。
2019年10月iOS版リリース。

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