STUDENT INTERVIEW
塾生インタビュー
一輪車の電動化キットE-Cat kitを開発し、農家の大幅な作業負担を実現。社会実装に挑み続ける!
寺嶋 瑞仁さん
長岡技術科学大学 機械創造工学課程 卒業 / 株式会社CuboRex 代表取締役
MAKERS UNIVERSITY 4期生
- Q.
- 現在、どんな事業やプロジェクトに取り組んでるか教えて下さい。
現在私は株式会社CuboRexという会社を創業し「不整地のパイオニアとしてほしい者がほしい物を生み出し試せる社会」を実現すべく事業を行っています。
具体的には現在は主に屋外環境で使えるロボットシステムの開発やその要素技術の販売、農作業や土木作業で使うねこ車(手押し一輪車)を電動アシスト化するためのキットの社会実装を手掛けています。
私達はこれらのプロダクトを通して、屋外の不整地環境で使う運搬作業を伴うシステムを利用者自身が構築して利用していける、そんな社会を作るべく活動しています。
私達の車輪やクローラのユニットだけをみた人たちは大抵、なんだこれ、といった反応をされるのですが(笑)、それがどういうふうに利用されるかを提示すればすぐに理解してもらえます。
- Q.
- MAKERS UNIVERSITYに応募する前は、どのようなことに取り組んでいましたか?
MAKERSに応募する前は雪国用の電動モビリティ開発をしていました。
25歳まで新潟にある長岡技術科学大学に在学しており、高専から継続していた不整地走行用のクローラの研究開発をより発展させ、かつ、当時、雪国での移動に困っていたので、その課題も解決できるソリューションを考えていました。
結果として、人が持ち運びできるサイズであり、人がのった状態でも雪と道路の両方を走れるモビリティとしてCuBoardを開発しました。
現在、雪上を人がのってはしれるモビリティとしてCuBoardは世界最小クラスの大きさの乗り物になっています。
- Q.
- 今の事業に至るまでの紆余曲折や、その間にどういう試行錯誤があったのかを教えて下さい。ターニングポイントや転機などがあればそれも含めて教えて下さい。
MAKERSに入った当初は雪上モビリティの事業を行っていました。しかし、まだ研究レベルであり、商品化できる段階に至るのがまだ難しい段階でした。また、それまで一緒に事業を行っていたチームが解散し、一人で事業を行っていました。
そういった中で、MAKERS2期生で新たなパーソナルモビリティのプロダクト開発や事業開発を行っていた嘉数正人(かかず まさと)くんと出会う機会があり、そこで嘉数くんに「一緒に事業を当事者としてやらないか?」と誘ったのを覚えています。
現在は、嘉数くんは株式会社CuboRexの副代表として会社の経営や社内のマネジメント、プロダクト要件の定義、寺嶋と社会の通訳などプロダクトを事業化する部分を実施しています。
嘉数くんが入ってからはクローラユニットの生産と販売を行い、10月に開催された農業weekにて弊社のプロダクトを出展した際、農業方面における引き合いが多くあったので、弊社のプロダクトを農業方面に活かすべく事業をピボットをしました。
- Q.
- 実際にMAKERSに参加してみて、自身にとってどんな変容や進化がありましたか?
自分自身のことを考えさせられる内省(自分の心と向き合い、自分の考えや言動について省みること)がほんとに多かったのが印象的でした。
MAKERSの中では、これまで自分の欲求や目標のみに対して走ってきた自分に対して、「なぜ それほどそのことに夢中なのか」「寺嶋とはいったいなんなのか?」というような問いを深く考えることができました。その結果、物事の事象の背景などもより深くとらえることができ、物事の本質を見抜いたり、他者にむける関心の幅や深さを広げることができました。
参加者の多くは同じような年代で、それぞれが自分が実現したいことにむけて走っている人達なので、自分の状態が客観的にはどう見えるのかなど、自分の今の状態や成長の度合いをはかるよい機会になりました。
- Q.
- MAKERSに入ったからこそ得られたことや、MAKERSがあってよかったなと感じていることを教えてください。
大きなものは、仲間が得られたことですね。上記でもあるのですが、現在、弊社の副社長を勤めている嘉数くんはMAKERSの2期生であり、その縁もあって現在株式会社CuboRexの副社長として、寺嶋がやるのが困難だった内部的な経営や社会への価値の提供を行ってくれています。
また、僕自身が、他者や世の中の事象に対して、必要に応じて目をむけることができるようになったことも大きいです。
これまでチームを何度か作ったことがありますが、そのいずれもがやや険悪であったり、無関心的な関係になって解散することになっていました。
嘉数くんが副社長になるまで、寺嶋主導のチームが1年以上継続したことはなかったので、現在副社長の嘉数くんは、今までのメンバーでも最長の期間事業をともにしてお互いチームとして補いあっているなと思っています。
- Q.
- あなたにとってMAKERS UNIVERSITYを一言で表すと何ですか?
僕にとってメイカーズとは「実験場」です。自分が生み出したプロダクトや生み出したいプロダクトがどういった用途に対して必要とされるのかを検証することができます。また仲間達の多様な取り組みから多くの学びを身近に得ることができる場でもあります。
- Q.
- あなたの人生や事業を通じて「こんな世の中・こんな未来を実現したい!」というビジョンを教えてください。
私は人生を通じて「欲しい者が欲しい物を生み出し試せる」ことが当たり前な社会をめざして活動しています。その中で株式会社CuboRexの目指す社会は、「屋外の多様な環境条件で活躍する移動を伴うシステム」を、利用者自身が自身や環境にあわせて自分で調べて工夫して作り上げ、実際に使いつづけ、成果をあげることが当たり前となっている社会、になります。
そのためにも、現在は、専門的な技術や道具を必要とせず、レゴを組み立てるような感覚で自分が必要とするものを手軽に組み上げ、しっかり屋外の不整地環境で活躍できるシステムを開発し社会実装を継続していきます。
(*このインタビュー記事は、2020年9月時点のものです)
関連URL
メディア掲載歴
・日本経済新聞 CuBoardについて
・日本経済新聞 E-Cat Kitについて

PROFILE
寺嶋 瑞仁 長岡技術科学大学 機械創造工学課程 卒業 / 株式会社CuboRex 代表取締役
高専時代:ひたすら高専ロボコンに熱中(2009年~2012年)初年度以外はすべて設計班でマシンのメイン設計をつとめる.2010年に全国大会準優勝 また卒業研究では被災地人探索ロボット(通称レスキューロボット)を開発し,学内での全学科合同卒業研究成果発表会で最優秀賞を獲得 また上記研究内容で特許を取得
大学 :学生ロボコンに設計班長として打ち込む.さらに高専時代のレスキューロボット(キューボ)の開発を独自に推進 大学内で自由なものづくり活動ができないという理由でものづくり総合支援施設「匠の駅」を丸栄器械製作所の協力で設立し,工房設備を 一般に開放した. 株式会社ホープフィールドをFabmobi代表の嘉数と設立,CTOに就任 同年寺嶋脱退 株式会社CuboRexを当時の技大の友人と社外取締役とで設立,代表取締役に就任