MAKERS UNIVERSITY

STUDENT INTERVIEW
塾生インタビュー

チョコレートを通して、地球の反対側を考えるきっかけを日常に持って欲しい、その先には、今よりもっと優しい世界があると信じています。

田口愛さん

Mpraeso合同会社CEO / 国際基督教大学三年

MAKERS UNIVERSITY 4期生

Q.
現在、どんな事業やプロジェクトに取り組んでるか教えて下さい。

Mpraeso合同会社を立ち上げ、現在カカオを軸にガーナでもっと付加価値を生み出そうというプロジェクトを行っております。

具体的には、トレーサビリティの担保や品質を向上させることでカカオ豆自体の付加価値を上げる、カカオの輸出面でのプロジェクトが進んでいます。
また、カカオ豆だけの輸出ではなくて、カカオ豆やチョコレートなど、加工して輸出することによって現地にもっと付加価値を創り出そうという活動もしています。
日本では、実際にチョコレートを販売しています。その際、支援だけに縛られず、アフリカの豊かさや魅力をもっと伝えられるよう活動しております。

Q.
MAKERS UNIVERSITYに応募する前は、どのようなことに取り組んでいましたか?また、MAKERS UNIVERSITYにはどんな想いや期待感で応募しましたか?

MAKERSに入る前は、少人数で活動していました。
カカオ豆からチョコレートを作り、ガーナの事を知るきっかけになるようなワークショップを何度か開催していました。活動を続けていく中で、このままイベントだけを続けていくことが私の何かやりたいことを網羅できるのか、また、もっと仲間を増やしたいななどと考えるようになりました。

実は、最初からとてもMAKERSに興味があった訳ではなく、全然MAKERSのことは知らず、締め切り前日ぐらいに友達にこれ面白そうじゃない?と教えてもらいました。
締め切り明日じゃん!となったのですが、モヤモヤをなんとかしたい、また、自分と同じような境遇の人と出逢いたいという思いがあったため、勢いで応募しました。
他の事業を考えるというより事業をより本格的なものにし、仲間集めをしたいという思いがありましたね。

Q.
今の事業に至るまでの紆余曲折や、その間にどういう試行錯誤があったのかを教えて下さい。ターニングポイントや転機などがあればそれも含めて教えて下さい。

私にとっては、コロナウイルスの流行がとても大きな転機でした。流行前まではガーナを支援したいというより、本当に私自身がガーナが好きで何度も渡航し、その思い出話をワークショップを行いながら伝えるということを最初2年間ぐらいずっとやっていました。

MAKERS期間中もいろいろ他のアイディアが出たり、ノウハウが溜まってきたりしつつも同じようなイベントをしていました。

コロナウイルスの流行で、オフラインでのイベントが困難で、またガーナ行くことも厳しくなった中で、今までのようにゆるく楽しく大学生活を送りながらやっていくのではなく、プロジェクトを存続させるためには、もっとしっかりした仕組みが必要だということを本気で考えるようになりました。

結果として、クラウドファンディングの実施や、チョコ販売に至ったのですが、プロジェクトが止まるかもしれないという危機に瀕したときに、大きく新たな一歩を踏み出すきっかけとなりました。

Q.
実際にMAKERSに参加してみて、自身にとってどんな変容や進化がありましたか?

何回も自分に「なぜ?」を聞くようになりました。
今までは、チョコが好きだからやってます!という感じでしたが、MAKERS期間中はなぜ私はチョコが好きなのか、チョコ以外に対して何かワクワクすることはあるのか、他の人ではなく自分がやりたい理由は何か、何度も問いかけられて、自分の中で毎回答えを探していきました。
そのおかげで「身近なチョコレートを通して遠い存在を考えてほしい」という軸が明確になりました。

現在、起業家コミュニティに属してない中でも、自分自身で「なぜ?」を問いかけるという癖がついています。

MAKERSに参加して、何度も考え、軸を磨いていたことが、その後いろいろなトラブルに遭っても冷静に対処できるきっかけになりました。

Q.
宮城ゼミが自分自身や事業に与えた影響、メンターとのやりとりで印象に残っていること、また、月1ゼミでの学びや気づきを教えて下さい。

ETIC.元代表の宮城さん率いる宮城ゼミに入っていました。宮城さんとお話ししている中で、とても自分の軸が固まっていき、私にとってはとても有意義な時間でした。

当時私は、国際協力や農業など、そういった分野のノウハウを貯めて進んでいくというより、そもそも自分が何をしたいのかわからず迷子になっていました。

ゼミの中で、宮城さんから「結局ガーナを助けたいのか、好きだからやってるのかよくわからない」という指摘をいただきました。

確かにその時、私は大学で開発学という国際協力も扱う学部にいましたので、国際協力をするという想いはありました。しかし、実際は、何か助けたいというよりもお礼をしたい、魅力を伝えたいという想いのほうが大きく、矛盾がありました。

確かになと、宮城さんの言葉が腑に落ちました。
それからは、綺麗事で何か助けたいというより、自分がやりたいからやるんだと軸ができ、いろんな事業展開ができるようになりました。

Q.
MAKERSに入ったからこそ得られたことや、MAKERSがあってよかったなと感じていることを教えてください。

MAKERSが本当にすごいなと思うところは、自分と同じような仲間がたくさんいて、
その仲間が本当に困った時に、本気で支えてくれるような仲間であり続けているというところだと思います。
最初MAKERSに入ったときは、既に会社を立ち上げている人もいて、本当にみんな華々しく見え、私は当時起業はしてなかったので、ちょっと焦ったところがありました。

実際、1年間のプログラム期間の中で、会社をたたむ決断をする人もいれば、新しく始めたり変えたり、色々なステージをみんな乗り越えていました。

皆悩んだり、立ち止まったり、一歩踏み出したりと、真剣に悩みながら考えている人たちであることに変わりはなく、そういった感情を共有できて、支え合えたのは本当に大きいです。
定期的に集まって、悩んだら抱きしめ合って、時には背中を押してみたいな、雰囲気が本当によかったです。

Q.
学生向けの起業支援プログラムやビジネススクールが沢山ある中で、MAKERS UNIVERSITYがそれらと違うのはどこだと感じますか?

程よく皆で集まる機会があるところです。

他のコミュニティーだと、メンターさんと繋がるのみで、あまり起業家同士で繋がる機会は少ないです。
MAKERSは定期的にイベントがあり、イベントの内容も起業家の話を聞く、自分たちで発表し合う、OBOGも一緒に集まるなど、本当にプログラムの多様性があり、その度に集まれる機会があり本当によかったです。

また、他のコミュニティーだと自分が上手くいかなくなったときにフェードアウトしてしまうことも多いと思います。行くのが気まずくなったり、発表するのが怖くなったりすることもあると思います。
MAKERSの場合、強制ではないのですが、苦しいこともみんなで乗り越えていこうという空気感があるので、何か発表するときには華々しくなくても、悩みを打ち明けられて、それをみんなで考え合えます。それが、1ヶ月に1回あったので、本当に心理的的安全性は保たれていました。

何かすごい人が表彰されるされるとかではなく、今の自分をさらけ出して、言語化できるということが、まず大事なことです。何度もメンタルが大変になることもあると思いますが、仲間に支えてもらうことが重要なんだということを初期に学ぶことができました。

だからこそ今、ストレスを抱え込むこともなく事業進められています。
MAKERSの空気感や仲間との強いつながりは他ではなかったですね。

Q.
あなたにとってMAKERS UNIVERSITYを一言で表すと何ですか?

「幼なじみ」ですね。
プログラム終了後も、切磋琢磨しあえる関係として刺激を受けつつ、あの時いっぱい悩んでたよねという思い出話や、事業に関係なく、最近はまってるアプリや食べ物の話もします。

最初は事業を軸に集まった仲間ですが、そんな枠にとらわれずいろいろ話ができて、事業について本気で相談したい時は相談に乗ってくれて、たわいもない話も乗ってくれる存在が、私にとってはとてもホッとする「幼なじみ」みたいな感じです。
出会ってからまだ2年しか経ってないなんて信じられない、本当にずっと前から出会っているようなすごく大きな存在です。

Q.
あなたの人生や事業を通じて「こんな世の中・こんな未来を実現したい!」というビジョンを教えてください。

私がチョコレートの事業をやっている理由として、
「身近なものからちょっと遠い世界を考えてほしい。」という思いがあります。
そういった考え方はチョコレートだけに限らず、他のものについても同じです。私達の身の回りにあるものは、本当に世界中の人々が関わり合ってできているので、ちょっと地球の反対側を考えるきかけを日常に持って欲しいとなと思っています。

その先には、今よりもっと優しい世界があると信じています。

(*このインタビュー記事は、2021年9月時点のものです)

メディア掲載歴

Forbes JAPAN「ガーナで人生が変わった。22歳がカカオビジネスを変える」

PROFILE

田口愛 Mpraeso合同会社CEO / 国際基督教大学三年
幼い頃祖父の家に行く度もらっていたチョコレートがきっかけで、チョコレートが大好きになり、カカオ農家さんに会いたいと思うように。19歳の時カカオ大国ガーナに単身渡航し、現地の農家さんと共に暮らす。現地の人々の魅力に強く惹かれ、Mpraeso(エンプレーソ)合同会社を立ち上げ様々な活動を行うようになる。
・現地チョコレート工場建設
・カカオの流通開拓
・カカオからチョコレートを作るワークショップの全国開催
・“MAAHA CHOCOLATE”の販売 など

戻る